合成フェロモンを利用してホソヘリカメムシのダイズ圃場への侵入時期を把握できる

タイトル 合成フェロモンを利用してホソヘリカメムシのダイズ圃場への侵入時期を把握できる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 遠藤信幸
和田 節
佐々木力也
発行年度 2010
要約 ダイズ圃場に設置したホソヘリカメムシの合成フェロモンにはダイズの開花後に成虫が大量に誘引される。フェロモントラップの誘殺ピークと前後し圃場内の成虫密度が上昇することから、本誘引現象は、成虫のダイズ圃場への飛来・侵入時期を反映している。
キーワード ホソヘリカメムシ、フェロモン、発生予察、ダイズ
背景・ねらい ホソヘリカメムシ雄成虫が放出するフェロモン成分はtetradecyl isobutyrate(以下14iBu)、(E)-2-hexenyl (E)-2-hexenoate(以下EE)および(E)-2-hexenyl (Z)-3-hexenoate(以下EZ)の3成分である(Leal et al., 1995)。これら3成分からなる合成フェロモン剤(14iBu:EE:EZ=1:5:1)が開発されているが、フェロモントラップでの誘引数と圃場での発生密度との関係が明らかでないため、発生予察には十分に利用されていない。そこで、ホソヘリカメムシ合成フェロモンを用いた発生予察への利用法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 播種時期の異なるダイズ2圃場に設置したホソヘリカメムシ合成フェロモントラップへのホソヘリカメムシ成虫の誘引数は、圃場Aでは開花12日後(8月24日)、圃場Bでは開花10日後(9月3日)に誘引ピークとなる一山型の消長を示す(図1)。
  2. ダイズ圃場内では開花前にはホソヘリカメムシ成虫は見られなかったが、圃場Aでは開花10日後(8月22日)、圃場Bでは開花10日後(9月3日)からホソヘリカメムシ成虫が出現し、9月から10月にかけて密度が増加する(図2)。一方、幼虫は成虫数の増加とほぼ同じかやや遅れて増加する(図2)。
  3. 合成フェロモンに誘引されたホソヘリカメムシ成虫の性比は、両圃場ともダイズの開花前は雄に偏っているが、開花後は雌成虫の割合が増加する(表1)。
  4. 以上から、開花期の異なる圃場では開花期のずれに対応した合成フェロモンへの誘引ピークが認められ、さらに、誘引ピークの直前あるいは直後にダイズ圃場内のホソヘリカメムシ密度が上昇する。したがって、ダイズ圃場での合成フェロモンへの大量誘引現象はホソヘリカメムシ成虫、特に雌成虫のダイズ圃場への飛来・侵入を反映しているものと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、現在市販されている2成分系(14iBu:EE=1:2)の誘引剤にも適用できる。
  2. ホソヘリカメムシの発生予察に活用され、それに基づく防除時期の決定が可能になる。
  3. 合成フェロモントラップへの誘殺数と圃場密度の関係については、今後さらなるデータの蓄積による評価が必要である。
図表1 234812-1.png
図表2 234812-2.png
図表3 234812-3.png
カテゴリ 病害虫 カメムシ 大豆 播種 フェロモン 防除

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