グリーニング病多発生環境下でキングマンダリンの高収益栽培を可能とする総合管理技術

タイトル グリーニング病多発生環境下でキングマンダリンの高収益栽培を可能とする総合管理技術
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 市瀬克也
米本仁巳
緒方達志
小堀陽一
大藤泰雄
中田唯文
関野幸二
Do Hong Tuan
Le Quoc Dien
発行年度 2010
要約 無病苗とネオニコチノイド系殺虫剤施用を軸とする生育初期防除の徹底と初期生育量確保のための適切な肥培管理によるグリーニング病の総合管理技術(IPM)により、ベトナムメコンデルタのグリーニング病多発生環境下でもキングマンダリンの高収益栽培が可能となる。
キーワード グリーニング病、キングマンダリン、メコンデルタ、ミカンキジラミ、IPM
背景・ねらい カンキツグリーニング病の激発地である東南アジア地域では、有効な対策が確立されておらず、カンキツの経済栽培が困難な状況にある。激発地の一つであるベトナムメコンデルタ地域の研究者・農民を対象とした技術の事前評価と技術選択調査で、果樹作においてグリーニング病対策を主とするIPMが重要であるとの結果を得た。そこで本研究では、ベトナム南部果樹研究所との共同研究により、メコンデルタ地域において、本病害発生のリスク要因を明らかにする。そのリスク評価に基づく無病苗と浸透移行性殺虫剤によるミカンキジラミ防除を核とする防除の体系化とその実証試験により、同地域における主要栽培品種であるキングマンダリンの経済栽培を可能とするグリーニング病の総合管理技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 総合管理は、リスク評価と対応する防除技術の導入からなり、リスク要因に基づき作付けと防除の意志決定を支援するための自己診断チャートと、技術マニュアルにより実施する。
  2. 自己診断チャート(図1)は、汚染園から約50m以内はグリーニング病侵入リスクが高いという疫学調査結果の共分散構造分析とミカンキジラミの移動分散行動の解析結果から、高リスク圃場と低リスク圃場に分け、作付け・防除対策の意志決定支援を行う。
  3. 技術マニュアルは、防除技術と栽培技術からなる。防除は、定植前・定植時・未結果期(通常定植後1年半)、結果期の4期に分け実施する(表1)。防除体系は、初期防除指針(平成20年度研究成果情報)に基づく植え付け時期の選択を基本とし、周囲からの侵入リスクが低い場合は、薬剤施用の削減とグアバ混植を組み合わせた防除体系も検討する。
  4. 技術マニュアルに従って、生育初期から適切な肥培管理を行い、樹体の初期生育を十分に確保することで、防除による収量性の改善効果が顕著になり、これを実践した高収量農家ではグリーニング病多発生環境下でも収穫2年目で経営を黒字化することが可能である(図2、3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、英語とベトナム語のマニュアルとして、南部果樹研究所・南部植物防疫局およびメコンデルタ各省の普及組織を通じて普及を図るとともに、JICAプロジェクト「メコンデルタ地域における効果的農業手法・普及システム改善プロジェクト」を通じて活用している。
  2. 本成果は、メコンデルタおよび同様の熱帯気候のキングマンダリン栽培における利用を目的としており、他の環境条件、品種では内容の再検討が必要となる。
図表1 234897-1.png
図表2 234897-2.png
図表3 234897-3.png
図表4 234897-4.png
カテゴリ 病害虫 管理技術 グアバ 経営管理 栽培技術 肥培管理 品種 防除 薬剤 その他のかんきつ

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