東ティモールにおける農村再構築ガイドライン

タイトル 東ティモールにおける農村再構築ガイドライン
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 東槇 健
渡辺 守
團 晴行
大森圭祐
岩崎 薫
発行年度 2010
要約 このガイドラインは、独立紛争により疲弊した農業農村の機能回復のための技術・手法に関する実証調査を行い、その成果を基に作成したものである。本ガイドラインは東ティモールの農業普及員研修テキストとして採用されており、今後の農業農村の再構築を効果的に実施することが期待できる。
キーワード 農村再構築、住民参加型、復興支援
背景・ねらい 東ティモールは、2002年5月に独立を果たし、国際機関、各国政府、NGO等の国際社会による支援のもと国造りが進められている。しかし、2006年に内紛が起きるなど依然として経済・社会状況は低迷している。とくに紛争に伴う人材の流出により行政機能が低下し、農業水産省では職員数が独立前の十分の一の約300名になるなど、良好な行政サービスの実施が困難な状態にある。一方、農村地域には国民の7割以上が居住し、主として主要産業である農業に従事しているが、生産性は低く、コメなどの主食を輸入に頼っている。このため、食糧の確保や農業生産性の向上と同時に人材育成等による持続的な農業発展への取り組みが喫緊の課題となっている。同国では1村1普及員体制整備を目指し2008年から大量採用を始めた農業普及員(2010年までに309名、今後190名程度増員予定)の能力向上のための研修教材等の早急な整備が望まれている。
成果の内容・特徴
  1. 本調査では、東ティモールが抱える課題を解決するため、農民や地方行政組織の人的資源を有効に活用する手法を実践し、この手法を行政職員が活用できるように農村再構築ガイドライン(英語と現地語のテトゥン語)として取りまとめている。取りまとめ作業にあたっては、全国の上級農業普及員等とワークショップを開催し、内容を確認するとともに、農業水産省の全局長から意見収集を行い、それらの意見を反映させ、同国の農業普及員研修テキストとして承認されている。
  2. 通常の参加型農業農村開発手法と比べた本ガイドラインの特徴は、以下のとおりである。
    1. 人的資源が大きく不足する中で、より迅速な支援を行うためには、活動内容の選択と集中を図る必要がある。本ガイドラインでは、活動内容を絞り込んだ取り組みの事例を紹介し、選択と集中のプロセスが、集落コミュニティの活性化に繋がる手法を提示している(図1)。
    2. 復興支援が成功する要因として、目に見える成果をいち早く示すことが重要である。本ガイドラインでは、WFPやGTZと連携した支援活動事例を紹介し、各機関の資金や人材を効率的に活用して成果を早期に創出する手法を提示している。
    3. 行政職員が不足している現状に鑑み、本ガイドラインでは、行政に過度に頼らないコミュニティ間の連携による普及メカニズムを導入し、集落コミュニティ間の農民による普及を機能させる手法を紹介している(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. ガイドライン引き渡しのセミナー時に農業水産省政務次官から「本ガイドラインは非常に有効であり、積極的に他の地域においても活用していきたい」との高い評価を受けている。
  2. 本ガイドラインは、調査対象集落の事例を基に作成しているので、実際に活用する際には、農民組織の実態等地域性を考慮して各集落に適用させる必要がある。
図表1 234900-1.png
図表2 234900-2.png
カテゴリ 人材育成

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる