新しい飼育手法「ワムシ収穫槽利用飼育」を用いたクロソイの種苗生産

タイトル 新しい飼育手法「ワムシ収穫槽利用飼育」を用いたクロソイの種苗生産
担当機関 (独)水産総合研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 野田 勉
発行年度 2010
要約 種苗生産の効率化を図る飼育方法として、ワムシの粗放連続培養法の収穫槽で仔魚を飼育する「ワムシ収穫槽利用飼育」がある。この飼育方法をクロソイの種苗生産で試みた結果、生残率が大幅に向上した。また、通常の飼育方法よりも成長差が縮減され、共食い防止に役立つと考えられた。さらに、種苗生産における作業時間の削減も図ることができ、本飼育手法の様々な有効性が明らかになった。
背景・ねらい 栽培漁業の技術開発において、コストの削減は種苗放流における経済回収率を高めるために重要である。宮古栽培漁業センターでは、ワムシの粗放連続培養法と、マダイやヒラメなどで有効性が確認されている「ほっとけ飼育」を組み合わせ、ワムシの粗放連続培養法の収穫槽で仔魚を飼育する「ワムシ収穫槽利用飼育(以下、収穫槽飼育という)」をクロソイの種苗生産の初期に取り入れ(図1)、その有効性について検討した。
成果の内容・特徴 通常のクロソイの飼育方法(通常飼育)においては、ワムシの培養、栄養強化、給餌は別々に行う。一方、収穫槽飼育は、EPAを添加したクロレラをワムシの餌料として使用し、仔魚の飼育槽へワムシを培養水ごと流し込むことで、ワムシの培養および栄養強化、仔魚への給餌を同時に行うことができる。
15日齢までクロソイ仔魚の収穫槽飼育を行った結果、通常飼育と同様の成長が確認できた。一方、収穫槽飼育における仔魚の全長の変動係数は通常飼育よりも小さくなり、成長差を縮減できた(図2)。本種は成長差が生じると共食いが発生するため、収穫槽飼育は共食いの防除に有効である可能性が示唆された。
宮古栽培漁業センターでは毎年2~3回クロソイの種苗生産を行い、鱗が概ね完成する30mmサイズでクロソイの取り上げを行っている。'05~'08年の通常飼育による本種の生残率は14.4~55.2%であった。一方、'08年以降、収穫槽飼育を実際の種苗生産の初期飼育に取り入れ、仔魚の成長に従ってアルテミアや配合飼料の給餌を開始し、徐々に通常飼育に切り替え、取り上げまで飼育を行った結果、生残率は向上し、'10年の平均生残率は80.5%となった(図3)。また、飼育における総作業時間を40%以上削減することができた。
成果の活用面・留意点 クロソイの種苗生産において「ワムシ収穫槽利用飼育」を活用することによって、生残率の向上や作業時間の削減など、種苗生産における効率化が確認できた。また、本飼育方法はワムシの培養槽と魚の飼育槽が分離しており、両水槽の設定水温を変えることができるため、キツネメバルなど、冷水性の魚種でも有効である。
図表1 234937-1.png
図表2 234937-2.png
図表3 234937-3.png
カテゴリ 病害虫 コスト 防除

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