日本海におけるカタクチイワシ春季産卵群の重要餌生物、カイアシ類の分布密度と水温の関係

タイトル 日本海におけるカタクチイワシ春季産卵群の重要餌生物、カイアシ類の分布密度と水温の関係
担当機関 (独)水産総合研究センター 日本海区水産研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 森本晴之
井口直樹
後藤常夫
発行年度 2010
要約 日本海で春季を主産卵期とするカタクチイワシの成熟産卵に及ぼす海洋環境の影響を解明する目的として、成魚の胃内容物から重要餌生物と特定されたポエキロストム目カイアシ類の個体数密度と水温との関係を検討した結果、水温約16℃(10m層)を境に密度と水温の関係が有意な正の相関から負の相関に変化し、水温から密度の推定が可能なことや15~17℃の海域・時期において餌料環境が良好なことが判明した。
背景・ねらい 日本海のカタクチイワシは、過去に長周期の漁獲量変動を繰り返してきたがそのメカニズムは依然不明である。本種は水温変動によって現存量や種組成が大きく変動する動物プランクトンを餌とするため、海洋環境の影響を直接受けると考えられる。カタクチイワシ春季産卵群の成熟産卵に及ぼす海洋環境の影響解明の一環として、重要餌生物であるポエキロストム目カイアシ類の個体数密度と水温との関係を求め、水温から餌生物の現存量を推定することを目的とした。
成果の内容・特徴 富山湾~能登半島周辺海域~若狭湾の26定点(図1)において、2006~2008年3~6月の各月約1週間、改良型ノルパックネット(目合0.10mm)の海深150m(以浅は海底直上)からの鉛直曳により動物プランクトンを採集し、10%中性ホルマリン固定後、カイアシ類の種査定を行った。CTDにより海底付近までの水温観測を行い、成魚の胃内容物から重要餌生物と特定されたポエキロストム目カイアシ類(図2)の分布密度と水温との関係を調べた。
調査海域を富山湾(9定点)、能登周辺海域(11定点)、若狭湾(6定点)に区分し、それぞれの海域におけるポエキロストム目カイアシ類平均密度と10m層平均水温との関係を検討した結果、水温15~17℃の海域及び時期で密度が高い傾向が認められ(図3)、密度(Y, inds/m3)と10m層水温(X, ℃)との間に、約16℃以下では正の相関(Y=206.3X-2145.8, r2=0.670, P<0.001)、16℃以上では負の相関(Y=-97.4X+2532.4, r2=0.551, P<0.01)関係が認められ、10m層水温から密度を推定する式が求まった(図3)。
以上のことから、春季の水温上昇が早く、夏季の水温上昇が遅い年ほど、カタクチイワシにとって餌料環境が良いことが推察された。
成果の活用面・留意点 本成果はカタクチイワシの成熟産卵特性と海洋環境変動との関係の定量化に寄与し、本種の資源評価の精度向上と資源変動に及ぼす環境変動の影響のメカニズムの解明が進むと考えられる。
図表1 234955-1.png
図表2 234955-2.png
図表3 234955-3.png
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