果樹を加害するフジコナカイガラムシの発育と増殖パラメーター

タイトル 果樹を加害するフジコナカイガラムシの発育と増殖パラメーター
担当機関 島根農技セ
研究期間 2006~2008
研究担当者 澤村信生
奈良井祐隆
発行年度 2008
要約
フジコナカイガラムシを芽出しソラマメで飼育した結果、雌のふ化から羽化までの発育零点は12.2℃、有効積算温度は331日度と推定された。これらパラメータを用いると発生時期が推測できる。また、内的自然増加率は24℃で0.117である。
キーワード フジコナカイガラムシ、発育零点、有効積算温度、増殖率
背景・ねらい
フジコナカイガラムシ(以下フジコナ)はカキやカンキツ、イチジク等の果樹を吸汁加害する重要な害虫である。そこで、防除適期を推定するために本種の発育零点、有効積算温度および増殖のパラメーターを算出し、発生時期と増殖率を推測する。
成果の内容・特徴
  1. フジコナの発育零点と有効積算温度は、卵では10.7℃、112日度、雌のふ化から羽化までは12.2℃、331日度である(表1)。
  2. フジコナの内的自然増加率は24℃で0.117と最も高くなり(表2)、30日後には約27倍の個体となる潜在的繁殖能力を示す。
  3. これらを使用しJPP-NET(日本植物防疫協会提供)の有効積算温度シミュレーションで2006年出雲市の気象データを用いてフジコナの発生予測を行うと、第一世代、第二世代の卵のう発生時期はそれぞれ6月16日、8月5日と予測される。現地カキほ場における発生調査では6月16日、8月16日に卵のうが確認され予測値とほぼ一致する(表3)。また、2007年においても同様の結果が得られている。
成果の活用面・留意点
  1. 各パラメータは16L:8D日長、16℃,20℃,22℃,24℃,28℃条件下での発育日数および産卵数から算出した。
  2. 有効積算温度シミュレーションではフジコナカイガラムシの越冬ステージは2齢として計算した。
  3. フジコナカイガラムシは増殖率が高いので第一世代の防除が重要である。
  4. 芽出しソラマメによる飼育方法はNarai and Murai(2002)によって開発された手法であり、他のフジコナ飼育法より優れている。
図表1 234981-1.jpg
図表2 234981-2.jpg
図表3 234981-3.jpg
カテゴリ 病害虫 いちじく 害虫 かき そらまめ 繁殖性改善 防除 その他のかんきつ

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