タイトル |
地域活動推進のための地域診断手法 |
担当機関 |
山口農総セ |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
2008 |
要約 |
地域活動の実態を把握できる診断項目を用いることで、地域の特徴と将来動向を診断できる。調査方法と診断手順の明示及び診断結果のベクトル化により、中山間地域を中心に住民が支援機関とともに地域の課題を捉え、活動の継続的な展開を進める手法として活用できる。
|
キーワード |
中山間地域、地域活動、地域診断、ベクトル化
|
背景・ねらい |
過疎化・高齢化が深刻化する中山間地域において、地域の活力を生み出すためには、各地域が直面する課題を地域の実情から把握するとともに、集落内外の人々との協力を視野に入れた主体的な地域活動の展開を促す必要がある。このため、地域活動の実態調査をもとに、地域活動の推進や将来の取組への方向性を示すための診断手法を開発する。
|
成果の内容・特徴 |
- 地域活動診断に用いる活動の選定
地域の特徴を表す活動を把握するため、集落の一般的な活動への参加実態調査を行い、住民主体の活動組織の有無、参加状況等を把握する。地域活動は取組に地域間差の少ない5活動(以下、共通活動)と地域間差のある6活動(以下、広域活動)の計11活動(以下、診断項目)に集約する(表1)。 - 地域活動診断のための調査方法
地域活動への取組状況は、地域の農家・非農家の割合、年代、性別にもとづいて選定する10名程度の住民に対して、活動に参加することへの負担感、将来への危機感等、診断項目ごとに設けた7つの質問をすることで把握する。 - 地域活動の診断手順
(1)地域活動の現状は、診断項目に対する回答結果を共通活動と広域活動ごとに整理した上で、両活動について、7つの設問の選択肢に対する回答割合等をもとに指標(以下、診断指標)を作成する(表2)。 (2)地域の将来動向は、住民の参加行動に影響を及ぼす「負担感」と「将来の危機感」の2指標について、それぞれ共通活動をX軸、広域活動をY軸として図化する。次に、「負担感」を始点、「将来の危機感」を終点としてベクトル化する(図1)。 (3)共通活動に対する将来の危機感の低下がみられる地域は、地理的条件が良く組織的な営農が展開されている場合が多く、これらの地域を「営農タイプ」と判定する。また、将来の危機感が上昇している地域は、地域づくりなどの組織的活動に取り組む場合が多いため、これらの地域を「むらづくりタイプ」と判定する(図2)。 (4)新たに地域活動の診断に取り組もうとする地域は、この診断指標により地域の特徴や将来動向の把握ができるとともに、該当する組織タイプの判断に活用できる。 - 診断結果の活用方法
(1)「営農タイプ」と判定された地域では、農業以外の課題に応じた取組が少ない傾向があるため、地域内の既存組織との連携等地域活動を総括的に推進する組織育成を促す(表3)。 (2)「むらづくりタイプ」と判定された地域では、活動の硬直化と組織の形骸化が生じるため、永続的な組織運営と円滑な活動の展開を促す支援を行う(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本手法は、地域を支援する行政機関及び地域リーダーの活用が望ましい。
- 診断手法の精度は、多くの地域での診断結果の蓄積により向上が図られる。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
図表5 |
|
カテゴリ |
診断技術
中山間地域
|