11.シュンギク中の抗酸化成分の調理・摂取時における動態

タイトル 11.シュンギク中の抗酸化成分の調理・摂取時における動態
担当機関 食品総合研究所
研究期間 1997~1999
研究担当者 竹中真紀子
永田忠博(現畜試加工部)
忠田吉弘(現東京消技セ)
吉田 充
発行年度 1999
要約 シュンギクに含まれるクロロゲン酸系列の抗酸化成分は、通常の加熱調理ではほとんど失われない。摂取後の抗酸化成分の体内での消長を見ると、ラットに静脈注射する場合には比較的速やかに消失するが、経口摂取する場合には未変化体での血中への移行は認められない
背景・ねらい
近年、食品中の機能性成分の体内動態に関心が高まってきている。食品に含まれる成分は通常、調理-摂取という過程を経て体内で吸収され代謝を受けるが、本研究ではシュンギク中の3種の抗酸化成分に注目し、加熱調理における安定性、消化液中での安定性、および動物体内における吸収性・安定性を調べた。

成果の内容・特徴 1.シュンギクには、主要な抗酸化成分としてクロロゲン酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸(SP-1)および4-スクシニル-3,5-ジカフェオイルキナ酸(SP-2)が含まれている(図1)。
2.これら3化合物のゆで調理における損耗を調べた。ゆで始めから30分後までの植物体およびゆで汁に含まれる各成分を定量したところ図2のように推移し、シュンギクの通常の調理加熱条件下(沸騰水中加熱30秒程度)ではこれらの成分はほとんど失われず、また加熱を続けても成分がゆで汁に移行するものの成分の熱分解は少ないことが示された。 
3.上記3化合物の分子の一部であるカフェ酸も加え、人工消化液中での安定性を調べた。人工胃液中2時間にひき続き人工腸液中2時間の処理ではいずれもほとんど変化しなかった。4.これらの化合物をラットに静脈注射すると、投与後30分以内にいずれも9割以上が消失し、分子量が大きくなるほど血中濃度は低い傾向にあった(図3)。また経口投与において血中から未変化体が検出されたのはカフェ酸のみであり、投与後1時間前後で血中濃度は最大になった。一方、シュンギクの主要な抗酸化成分であるクロロゲン酸、SP-1およびSP-2については、経口投与後未変化体での血中への移行は認められなかった。
成果の活用面・留意点 シュンギクに含まれる抗酸化成分は、加熱調理および消化液による損失は少ないが、経口投与した場合に未変化体での血中への移行が認められない。このように、実際に食品を摂取した場合に、in vitroで確認された機能性がそのまま体内で発揮されるとは限らず、生体内での機能性を評価するには、代謝も含めた多角的な研究が必要である。
図表1 235046-1.gif
カテゴリ 機能性 機能性成分 しゅんぎく

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