タイトル | 18.超強力小麦粉のパンへの新利用技術 |
---|---|
担当機関 | 北海道農業試験場 |
研究期間 | 1996~1999 |
研究担当者 |
山内宏昭 一ノ瀬靖則 高田兼則 桑原達雄 |
発行年度 | 1999 |
要約 | 超強力小麦粉はそのパン生地物性が非常に強く、ガス保持性が高いので、冷凍生地や国産小麦粉とのブレンド小麦粉で焼いたパンの比容積を高め、製パン性を向上させる。 |
背景・ねらい | 北海道産春播小麦の製パン利用の要望は高いが、天候不順と低収量性から生産が不安定である。生産量の大半をしめる中力秋播小麦の製パン利用が一部実需者により努力されているが製パン適性は十分な状況にない。そこで、カナダの小麦銘柄の一つである超強力小麦粉(以下、超強力粉)の持つ強い生地物性に着目し、超強力粉の冷凍生地および中力粉へのブレンド利用による製パン性を比容積と生地物性の面から検討する。なお、北海道農試はカナダ銘柄の超強力小麦と同等の特性を持つ系統を育成中で、品種化を急いでいる。 |
成果の内容・特徴 | 1.パン生地の冷凍期間中、超強力粉からのパンの比容積は強力粉に比べ高い比容積を維持する(図1)。 2.超強力粉の冷凍生地製パンの比容積が高い理由は、冷凍前の超強力粉の生地の破断強度(弾性の強い生地物性)、ガス保持性(真空生地膨張量の値の高い生地ほどガス保持力高い)が高く、各値は冷・解凍により低下するものの、強力粉より高い値を維持するためである(図2)。 3.超強力粉を適当量中力粉、準強力粉にブレンドすると、強力粉をブレンドした場合より比容積が高まり、中力粉への25%ブレンドでも強力粉並の比容積となる(図3)。 4.超強力粉のブレンドによって比容積が高まるのは、生地の破断力、ガス保持性が向上するためである(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.超強力粉は、冷凍生地や国産小麦粉へのブレンドによる製パンへの利用が期待できる。 2.超強力粉 100%では生地形成のためのミキシング時間が通常の強力粉の2倍程度必要である。 3.小麦粉は、図1,2 の強力粉は市販のものを用いたが、それ以外は、北海道農試の圃場で栽培した子実のビューラー・テストミルによる60%粉を用いた。 4.製パンデータは、冷凍生地に関してはイースト5%添加のノータイム冷凍生地製パン法で最終発酵は38℃、型上1cmの条件で、ブレンド生地に関してはイースト 2%添加のノータイム法で最終発酵は38℃、70分の条件で得た。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 小麦 品種 |