| タイトル | 人工林の施業効果と炭素収支を評価する |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
千葉幸弘 家原敏郎 |
| 発行年度 | 2011 |
| 要約 | 人工林の基本情報(樹高、胸高直径、林分密度)を入力するだけで森林の炭素蓄積量や構造が簡単に推定でき、さらに気象データを入力すれば炭素収支や年間炭素固定量などが計算できるプログラムを開発しました。 |
| 背景・ねらい | 炭素固定をはじめとする森林の様々なはたらきを損なわずに、森林を持続的に利用することが求められています。森林の手入れの仕方によって葉、枝、幹の割合や分布量が変化しますが、そうした様々な人工林の成長や構造の推定には詳細な調査が必要でした。今回、森林の基本情報(樹高、胸高直径、林分密度)を入力するだけで、森林の構造や成長を簡便に推定する手法を開発しました。この手法と光合成や呼吸のモデルを統合することによって、気象変化に伴う炭素収支の年変動や季節変化を推定することが可能となり、気候変動の影響等に配慮した森林の施業や管理方策を立案するための判断ツールとしての利用が期待されます。 |
| 成果の内容・特徴 | 森林成長モデル人工林における林木の成長や炭素固定量などは、植栽本数や間伐などのさまざまな手入れの仕方によって大きく影響されます。幹の成長は葉が行う光合成の影響を受けるので、こうした手入れの仕方による林分成長や枝葉の分布状態の違いを的確に予測することが求められていました。今回、開発した森林成長モデルでは、枝葉の付き方や樹形の成り立ちに基づいた解析手法を取り入れることにより、植栽本数や間伐の強さなどに柔軟に対応して、森林の内部構造や成長量などを簡単に計算できるようになりました。間伐施業の効果と意義を判定する一般的な間伐を実施した場合と無間伐の場合の炭素蓄積量を比較すると(図1)、現存する林木の炭素蓄積量に関しては無間伐林のほうが大きくなりますが、間伐林で間伐された木や自然枯死した木の炭素量も含めた総炭素量で比較すると(図2)、間伐林のほうが多くなります。このことは間伐林と無間伐林での調査結果とも合致し、今回のモデルの妥当性が確認されました。無間伐林では台風などの気象災害で壊滅的なダメージを受ける危険性が高く、炭素を長期間蓄積させておくという意味でも適切な間伐は重要であることがわかります。人工林の内部構造を見通す人工林には数百本から数千本も木が立っています。森林にある葉、枝、幹の重量や森林内部の階層ごとの枝葉量などは、森林の炭素収支を評価するのに必要な情報です。こうした森林の内部構造を知るためには木の伐倒による詳細な調査が必要でしたが、今回開発したモデルでは分枝構造など樹形の規則性を利用することにより、幹の平均直径、樹高、haあたり立木本数を入力するだけで、森林の重量や枝葉の階層構造、木部表面積などが推定でき(図3)、実測データからもその確かさが確認できました。さまざまな人工林の炭素収支を推定する森林の内部構造が簡便な方法で見通せるようになったので、光合成や呼吸の推定モデルと統合することによって、森林の炭素固定量や気候変化に伴う炭素収支も推定しやすくなりました。冷夏や乾燥などの気象条件が森林の年間炭素固定量を減少させ、季節的にも炭素吸収パターン(図4)に影響することなど、スギ林で観察される現象を再現できることが確かめられました。本研究は、「予算区分:環境省地球環境研究推進費、課題名:環境変動と森林施業に伴う針葉樹人工林のCO2吸収量の変動評価に関する研究」による成果です。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| カテゴリ | 乾燥 |
| 生体構成物質のAFM(原子間力顕微鏡)による粘弾性計測 |
| 微生物の水素生産機能改良のためのメタボリックエンジニアリングモデル |
| わが国森林土壌中に貯留される炭素量の試算 |