田畑輪換への土壌炭素動態モデル RothC の適用:水田用改良モデルと畑用モデルの併用で土壌炭素を精度良く予測

タイトル 田畑輪換への土壌炭素動態モデル RothC の適用:水田用改良モデルと畑用モデルの併用で土壌炭素を精度良く予測
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 白戸康人
矢ヶ崎泰海
西田瑞彦
発行年度 2011
要約 長期の田畑輪換試験データでローザムステッド・カーボンモデル(RothC)を検証したところ、夏作が水稲の年は水田用改良 RothC(RothC-26.3_p)、畑作の年はオリジナルの畑用 RothC(RothC-26.3)を用いることにより長期間の土壌炭素量の変化を精度良く予測できました。
背景・ねらい 土壌炭素動態モデルRothCは簡便で性能が良く、土壌炭素量変化の将来予測に活用が期待されています。これまで、水田と畑それぞれで検証や改良が行われてきましたが、水田と畑として交互に利用される田畑輪換での検証はされていません。そこで、水田期間と畑期間の比率が異なる複数の田畑輪換の長期連用試験データを用いて、田畑輪換におけるRothCの検証を行いました。
成果の内容・特徴 秋田県の東北農業研究センター大仙研究拠点の水田圃場で行われた長期連用試験データにRothCを適用しました。連年水田区と、3種の田畑輪換区、すなわち短期畑転換区(ほぼ大豆1年~水稲2年のサイクル)、中期畑転換区(大豆3年~水稲1年)及び長期畑転換区(18年間連続で大豆作付期間あり)を対象に、それぞれ堆肥やワラの施用の有無などを組み合わせた計14処理区について計算しました。A)水田用と畑用モデルの併用:夏作が水稲の年は水田用改良RothC(RothC-26.3_p:水稲作付月は炭素分解率をオリジナルの畑用RothCの0.2倍、他の月は0.6倍に改変)を、夏作が大豆の年はオリジナルの畑用RothC(RothC-26.3)を使用した場合、
B)RothC-26.3_pを毎年使用した場合、C)RothC-26.3を毎年使用した場合、についてモデルと実測の適合度を評価しました。
その結果、「水田用と畑用モデルの併用」の結果が最も良いことがわかりました(図1)。これはこの圃場だけの結果ですが、水田と畑それぞれで検証・改良されてきたモデルの組合せがうまくいくことはある程度予想された結果であり、他の場所でも同様の結果になる可能性が高いと考えられます。
次に、上記「水田用と畑用モデルの併用」におけるモデルの性能を、水田や黒ボク土畑など別の場所を対象とした既往のモデル研究と比較しました。モデルと実測の適合程度を、RMSE(RootMeanSquareError)とM(MeanDifference)の絶対値の2つの統計的指標(いずれも、値が小さいほど良い)で評価すると、上記の「水田用と畑用モデルの併用」のモデルの精度は、既往の「水田におけるRothC-26.3_p」および「黒ボク土畑における黒ボク土用改良モデル(RothC-26.3_v)」と同程度の高いレベルであることがわかりました(図2)。これらのことから、「水田用と畑用モデルの併用」で、田畑輪換における土壌炭素量の経時変化を精度よく予測できると結論しました。
この結果は、日本の温室効果ガスインベントリの精緻化や、田畑輪換における適正な土壌肥沃度管理に活用可能と考えられます。
成果の活用面・留意点 本研究の一部は、農林水産省気候変動対策プロジェクト研究「農林水産分野における温暖化緩和技術及び適応技術の開発」による成果です。
図表1 235265-1.jpg
図表2 235265-2.jpg
研究内容 http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result28/result28_20.html
カテゴリ 気候変動対策 水田 水稲 大豆

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