中干し期間の延長による水田からのメタン発生の削減

タイトル 中干し期間の延長による水田からのメタン発生の削減
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 須藤重人
伊藤雅之
八木一行
発行年度 2011
要約 中干し期間の延長によって水田からのメタン発生を削減する効果を検証するため、全国8県9か所の農業試験研究機関圃場における実証試験を2か年にわたり実施しました。その結果、稲わら、麦わら等の有機物を施用した水田では、中干し期間を慣行からさらに1週間程度延長すれば、コメ収量への影響を抑えつつメタン発生量を削減できることがわかりました。
背景・ねらい 水田土壌由来のメタンは我が国の人為起源メタン発生量の約30%を占めます。温暖化防止のために、水田からのメタン発生を削減する有効な緩和策の一つとして、中干し期間の延長が考えられます。しかしどのくらいの期間の中干しが有効であるのか、収量などへの悪影響はないのかなど不確かな点が多く、普及は進んでいません。そこで全国8県9か所における実証試験により、中干し延長によるメタン発生削減効果とコメ収量変動等とへの影響を明らかにしました。
成果の内容・特徴 中干し期間の延長による水田からのメタン(CH4)発生削減効果に関する実証試験を、全国9カ所で、それぞれ2年間行いました(図1)。各地での実証試験では、地域ごとの慣行の中干し期間を前或いは後ろに延長し、CH4発生量の変化を観測しました。その結果、図2に示す福島県での観測例のように、中干しの延長(前倒し)によりCH4発生は効果的に削減できることが明らかになりました。各地で計測された中干し期間の延長とCH4発生比率には図3のような曲線関係が認められ、慣行に比較して中干しを一週間程度延長すると18~72%程度CH4の排出が削減されました。また、CH4削減効果が生じるのは前年に稲わら等の有機物がすき込まれた圃場であることがわかりました。中干しを延長することによる一酸化二窒素(N2O)の発生量の増加は、CH4発生量と較べて無視できるほどに少量であることも確認しました。
中干し期間を延長することで、水稲収量(精玄米重)は慣行とほぼ同等かわずかに減収する傾向(対慣行比86~110%)が見られました。一方で、登熟歩合の向上傾向(対慣行比98~108%)、タンパク含有率低下傾向(94~104%)など品質・食味の向上が示されました(表1)。
この実証試験の成果は「水田メタン発生抑制のための新たな水管理技術マニュアル」として公開されています。本技術が全国の水田で普及されることにより、わが国の水田からの温室効果ガス排出削減を図ることが期待されます。
成果の活用面・留意点 本研究の一部は、農林水産省生産局委託事業「水田土壌由来温室効果ガス計測・抑制技術実証普及事業」による成果です。
図表1 235266-1.jpg
図表2 235266-2.jpg
図表3 235266-3.jpg
図表4 235266-4.jpg
研究内容 http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result28/result28_22.html
カテゴリ 水田 水稲 水管理 良食味

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