タイトル |
乳酸発酵を用いた伝統的ビーフン製造技術の特徴 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2011~2015 |
研究担当者 |
辰巳英三
齋藤昌義
神山かおる
魯戦会
李里特
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発行年度 |
2011 |
要約 |
中国の発酵型ビーフン製造工程には乳酸菌および酵母が関与している。原料インディカ米の発酵によって生成する乳酸は有害微生物の成育を抑制する。発酵過程で蓄積される乳酸や粘弾特性に負の影響を与える蛋白質・脂質の分解によってビーフンの品質が改善する。
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キーワード |
ビーフン、乳酸発酵、米粉、インディカ米、澱粉
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背景・ねらい |
中国南部や東南アジア地域で伝統的手法を用いて製造される発酵型ビーフンは、原料米の発酵によって粘弾特性が向上するが、一般には食品高分子を分解すれば粘弾特性は低下するはずである。伝統食品に隠された未知の加工手法の原理を解明するため、原料米の発酵に関与する微生物を明らかにし、発酵過程における高分子成分の挙動が発酵型ビーフンの粘弾特性に及ぼす影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 中国湖南省常徳市の発酵型ビーフン工場3カ所においてインディカ米の天然発酵工程で検出される乳酸菌(170検体)で主要なものはLactobacillus plantarum(32検体)であり、酵母(96検体)で主要なものは、Saccharomyces cerevisiae(57検体)である。
- 発酵初期の段階で損傷澱粉や非晶質澱粉等の澱粉の一部が分解されて還元糖等が生成し、乳酸菌の生育が助長される。乳酸菌の生育に伴って蓄積される乳酸によって、大腸菌群等の有害微生物の成育が抑制される。
- 原料米の発酵により、相対的なアミロース含量や還元糖が増加する一方、損傷澱粉・蛋白質が減少する。脂質含量も減少する傾向がある(表1)。
- 未発酵の原料米をトリプシン(蛋白質分解酵素)処理、リパーゼ(脂質分解酵素)処理、乳酸(pH4.0)浸漬処理すると、最大引張強度は減少するが最大引張変位が増加し(図1)、滑らかで適度な弾力を持つビーフンが調製される。原料米に含まれる蛋白質や脂質はビーフンの粘弾特性に負の影響を与える。
- 未発酵の原料米から調製された米粉に発酵過程で蓄積するグルコースやマルトースを添加するとビーフンの粘弾特性は低下する。
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成果の活用面・留意点 |
- 原料米の乳酸発酵に際しては、原料米中の澱粉粒の分解を抑え、蛋白質や脂質を効率的に分解できる条件を検討する。
- 原料米の発酵過程で蓄積するグルコースやマルトースはビーフンの粘弾特性に負の影響を与えるため、ビーフン調製に際しては低分子糖類を除去することが望ましい。
- 発酵型ビーフンの調製には複数種の微生物が関与していることから、スターターの開発等、大腸菌群やカビ類等の増殖を抑制できる発酵条件を確立する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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研究内容 |
http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2011/2011_12.html
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カテゴリ |
加工
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