南米におけるダイズさび病菌の病原性の変異

タイトル 南米におけるダイズさび病菌の病原性の変異
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 赤松 創
山中直樹
山岡裕一
Antonio Juan Gerardo Ivancovich
Rafael Moreira Soares
Wilfrido Morel
Alicia Noelia Bogado
発行年度 2012
要約 ダイズさび病菌に対する16のダイズ判別品種の反応を抵抗性型、中間型、感受性型に分類することで、南米のダイズさび病菌の病原性を評価する。2007年~2010年の3ダイズ作期に採集したブラジル、アルゼンチン、及びパラグアイのダイズさび病菌は、高い病原性変異を有し、同一作期中に、各国で採集した菌の病原性は、パラグアイの1組を除き全て異なる。南米各国の同一採集地において、作期ごとに異なる病原性を有するダイズさび病菌が検出される。
キーワード ダイズさび病、病原性、Phakopsora pachyrhizi、判別品種、評価法
背景・ねらい ブラジル、アルゼンチン、パラグアイでは国際市場に流通する大豆の46%を輸出するため、これらの国々における大豆の持続的安定生産は極めて重要である。しかし2001年以降、ダイズさび病がこれら南米各国での大豆安定生産上の大きな阻害要因となっている。南米3カ国のダイズさび病菌の病原性の変異を把握し、現地で有効な抵抗性遺伝子又は抵抗性品種を明らかにするため、判別品種における感染型の評価に基づいて、病原性の地理的、及び経時的な変動を解析する。
成果の内容・特徴
  1. 16のダイズ判別品種(表1)を24℃、14時間日長で本葉3~4葉期に育成し、ダイズさび病菌夏胞子懸濁液を接種する。2週間後、ダイズ葉上に形成される病斑の有無、病斑が形成された場合の夏胞子堆数及び夏胞子形成度(図1)を指標とし、ダイズさび病に対する各判別品種の反応を抵抗性、中間型、感受性の感染型に分類する(表2)。感受性(青)を示す判別品種が多いダイズさび病菌の病原性は強い。
  2. 南米で2007年~2010年の3ダイズ作期に採集したダイズさび病菌59サンプル中、同一の病原性を示す菌は2組(ブラジルのBE4-2及びパラグアイのPA5-3、パラグアイのPC1-1及びPA9-1)のみであり、現地のダイズさび病菌には高い病原性変異が認められる(表3)。
  3. 同一作期中に各国で採集したダイズさび病菌のうち、病原性が同一の菌はパラグアイのPC1-1及びPA9-1のみで、国や地域による一定の傾向は認められない(表3)。また、各国の同一採集地で、異なる作期に採集したダイズさび病菌間においても、病原性変異は検出される(表3)。
  4. 南米には、日本で採集したダイズさび病菌に比べ、ダイズ判別品種に対する病原性が極めて強いダイズさび病菌が存在する(表3)。
  5. 既知のダイズさび病抵抗性Rpp遺伝子を保有する判別品種7及び10、並びにRpp遺伝子が未同定の判別品種9、12及び13は、2007年~2010年の3ダイズ作期に南米で採集したダイズさび病菌の78%~96%に対して抵抗性反応を示す。
成果の活用面・留意点
  1. 上記以外の国又は研究機関にて、同評価法を用いることで、南米3カ国のダイズさび病菌との比較が可能である。
  2. 判別品種には、ダイズさび病抵抗性遺伝子Rpp1Rpp5を有する品種が含まれ(表1)、南米のダイズさび病菌に有効な抵抗性遺伝子、又は抵抗性品種を明らかにし、各国の抵抗性育種に使用することができる。
  3. 使用する判別品種は、準同質遺伝子系統ではないため、各品種の遺伝的背景が感染型に影響を及ぼす可能性がある。
図表1 235308-1.gif
図表2 235308-2.jpg
図表3 235308-3.gif
図表4 235308-4.gif
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2012/2012_09.html
カテゴリ 育種 大豆 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 評価法 品種 輸出

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