免疫不全ブタの開発に世界で初めて成功

タイトル 免疫不全ブタの開発に世界で初めて成功
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2011~2012
研究担当者 大西 彰
鈴木俊一
淵本大一郎
千本正一郎
鈴木美佐枝
美川 智
岩元正樹
橋本径子
石川文彦
齊藤頼子
鈴木那穂子
青木由貴
髙木伸介
名島悠峰
久保正法
坂田洋一
三室 淳
窓岩清治
柏倉裕志
アンソニー・ペリー
鈴木えみ
発行年度 2012
要約 遺伝子組換え技術と体細胞クローン技術の利用により、免疫に関与する遺伝子(IL2rg)が欠損した免疫不全ブタの開発に、世界で初めて成功した。
キーワード 免疫不全、体細胞クローン、再生医療、抗体医薬、実験用ブタ
背景・ねらい 近年、免疫不全マウスへヒトの組織や細胞を移植した、いわゆる“ヒト化マウス”の研究が進み、ヒト感染症や腫瘍の再現、あるいはヒト型臓器への置換など様々な分野へ利用が広がっている。ブタは生理学的、解剖学的にヒトに近く、寿命も長いという特徴を持つ。そのため、ヒト化マウスの技術をブタへ応用すれば、iPS細胞など、ヒト培養細胞の長期安全性試験や、より実用的なヒト組織や臓器の再生が可能になることが期待される。本研究では、再生医療や抗体医薬の開発への利用を可能とする、免疫不全ブタの開発を進めた。
成果の内容・特徴
  1. 遺伝子ノックアウトにより、免疫に関与する遺伝子(IL2rg)を欠損した細胞を得、それを用いて体細胞クローン技術により免疫不全ブタを作出した。
  2. 免疫不全ブタにおいては、免疫器官である胸腺がなく(図1)、免疫細胞であるリンパ球のうち、T細胞とNK細胞がなかった。B細胞は存在したが、生後2か月以内に消失した。
  3. 免疫不全ブタは抗体(IgG, IgA, IgM)を作り出すことができない(図2)ため、感染症によりおよそ2か月以内に死亡した。
  4. 免疫不全ブタに骨髄移植を行った結果、免疫能が回復し、1年間以上の生存が可能となった(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 免疫不全動物の開発を、ヒトとの類似性がより高い大型動物であるブタへ発展させることを可能とした。
  2. iPS細胞など、ヒト培養細胞の長期安全性試験への利用が期待される。
  3. ヒト型組織や臓器の再生に向けた、再生医療分野への利用が期待される。
  4. 完全ヒト型抗体の生産を目的に、抗体医薬品開発への利用が期待される。
  5. 実験用ブタの利用拡大により、新たな養豚業が創出される。
図表1 235372-1.jpg
図表2 235372-2.gif
図表3 235372-3.jpg
研究内容 http://www.nias.affrc.go.jp/seika/nias/h24/nias02416.html
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