土佐湾において“こたか丸”で採集されたニギス属の2新種

タイトル 土佐湾において“こたか丸”で採集されたニギス属の2新種
担当機関 (独)水産総合研究センター 中央水産研究所
研究期間 2006~2011
研究担当者 梨田一也
発行年度 2012
要約 ニギスは土佐湾における沖合底びき網漁業の主要対象種となっている。ニギスの新規加入量調査で得られた標本を精査したところ、これまで知られていなかったニギス属魚類2種の存在が明らかになった。
背景・ねらい 土佐湾には600種以上の魚類が生息しており、高知で“沖うるめ”と呼ばれるニギスGlossanodon semifasciatus(図上段)は底魚類の中でも漁獲量が多く、沖合底びき網漁業の主要対象種となっている。これまで日本周辺に分布するニギス属魚類は、ニギスとイチモンジイワシG. lineatusの2種とされており、この他に見た目のよく似た別属のカゴシマニギスArgentina kagoshimaeが報告されている。ニギスの新規加入量調査で得られた標本には、これまで知られていなかったニギス属魚類が存在している可能性があり、資源管理の高度化に向けて種の精査を行う必要があった。
成果の内容・特徴 ニギスの新規加入量調査は、調査船“こたか丸”(59トン)によって土佐湾中央部の水深120m、150mと200mで底びき型幼魚ネット(袋網部の目合い2mmの小型オータートロール)を用いて行った。採集した試料は船上で大まかに選別した後に研究室へ持ち帰り、高知大学理学部の遠藤広光教授のグループと共同で精査した。この結果、イチモンジイワシとニギスの外部形態の違いは明瞭であったが、従来イチモンジイワシとしていた試料の中に少し形の変わった個体が混じっており、イチモンジイワシとは脊椎骨や鰓耙の数に明瞭な違いが見つかった。そこでこれを、新種コタカニギスG. kotakamaruとして報告した(Endo & Nashida 2010:図中段)。また、ニギス試料の中に色の薄い個体を見つけて精査したところ、体色はニギスよりも白い乳白色で頭部が短く、成熟サイズも小さい(雄65mm、雌72mm)ことが判明した。これらから本種はニギスとは別種と確認し、ツマリニギスG. microcephalusと名付けた(Endo & Nashida 2012: 図下段)。
成果の活用面・留意点 今回の研究は、漁業に利用されている魚の中にも未知の種が生息している可能性を示した。これらの種が明確にされることにより生物多様性の把握や適切な資源管理に役立つことが期待される。
図表1 235483-1.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4084&YEAR=2012
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