ピリジントリフェニルボランの海産生物に対する生態リスク初期評価

タイトル ピリジントリフェニルボランの海産生物に対する生態リスク初期評価
担当機関 (独)水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所
研究期間 2009~2011
研究担当者 持田和彦
隠塚俊満
田中博之
発行年度 2012
要約 新規防汚物質であるピリジントリフェニルボラン (PTPB) を被検物質とし、海産生物数種に対する毒性値を算出した。得られた毒性値を基に種の感受性分布に基づく予測無影響濃度を求めた。同時に広島湾海水中 PTPB濃度を求め、予測無影響濃度と比較したところ、現段階における生態リスクは極めて低いと考えられた。
背景・ねらい 有機スズ化合物の使用規制に伴って新たな船底塗料用・漁網用防汚物質が使用され始めているが、これら新規防汚物質の海産生物に対する有害性については十分な知見が揃っていない。本研究では、我が国において高い頻度で使用されているピリジントリフェニルボラン(PTPB)を対象とし、海産生物に対する毒性を明らかにするとともに、広島湾海水中濃度を測定し、生態リスク初期評価を行うことを目的とした。
成果の内容・特徴 近年、欧米を中心に研究が進められている種の感受性分布を用いた方法により予測無影響濃度を求めた。まず、海産藻類4種、甲殻類等の海産無脊椎動物3種、及び海産魚2種を試験生物とし、PTPBを被検物質とした急性毒性試験を行った。得られた毒性値及び文献値(Okamura et al., 2009) を用い、ベイズ統計モデルを用いて種の感受性分布を推定した(図1)。種の感受性分布に基づき、99%の生物種に対して影響が出ない濃度(HC1=170,000pg/L) を算出し、予測無影響濃度とした。次に、広島湾内10地点より海水をサンプリングし、PTPBの海水中濃度を液体クロマトグラフィー質量分析計を用いて分析した。分析の結果、6地点より4.8-21pg/Lの範囲で検出された(図2)。海水中より検出された最高濃度は、予測無影響濃度の約8000分の1であったことから、広島湾における現段階でのPTPBによる生態リスクは低いと考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. ベイズ統計モデルに基づく種の感受性分布を用いた予測無影響濃度推定は、異なる物質に対しても応用が容易である。
  2. 種の感受性分布推定に用いた毒性値に関して、生物分類群間の種数の偏りを考慮する必要がある。
図表1 235532-1.gif
図表2 235532-2.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4294&YEAR=2012
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