ipt遺伝子導入キウイフルーツでは過剰なサイトカイニンにより形態が小型化する

タイトル ipt遺伝子導入キウイフルーツでは過剰なサイトカイニンにより形態が小型化する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2002~2011
研究担当者 本多親子
草塲新之助
西島隆明
森口卓哉
発行年度 2011
要約 アグロバクテリウム由来のipt遺伝子を形質転換により導入したキウイフルーツでは、内生サイトカイニン(特にトランスゼアチン)の蓄積量が増大し、葉の大きさが小さくなる、節間が詰まる等の形態変化が観察される。
キーワード ipt遺伝子、キウイフルーツ、形質転換、形態変化、サイトカイニン
背景・ねらい 果樹栽培では、栽培管理を省力・効率化するための手段として、わい化栽培が取り入れられている。一方で、近年、形質転換技術によって内生の植物ホルモン濃度を変化させ、植物の形態を変化させることが可能になってきている。本研究では、過剰量のサイトカイニンの蓄積により形態が変化し頂芽優勢の消失やわい化などの形質が付与されたという報告に着目し、キウイフルーツにサイトカイニン生合成系酵素遺伝子(ipt遺伝子)を導入して、過剰に蓄積したサイトカイニンが形態変化に与える影響を検証する。
成果の内容・特徴
  1. 本研究においてキウイフルーツ(「ヘイワード」)の形質転換に用いたipt遺伝子は、アグロバクテリウム由来のイソペンテニルトランスフェラーゼ(IPT)をコードしている。このIPTはサイトカイニン生合成の律速反応を触媒している。また、遺伝子発現制御にはCaMV35Sプロモーターを利用している。
  2. 培養シュートの段階でipt遺伝子の導入が確認されたtmr2-4、tmr2-Gの2系統を非形質転換体の「ヘイワード」台へ接ぎ木すると、穂木部(形質転換体)において側芽が多く発生し頂芽優勢が打破される様子が認められる(図1)。
  3. tmr2-4、tmr2-Gでは、非形質転換体と比較して葉が小さい傾向があり、節間が短い(図2a、b)。また、形態変化が大きいtmr2-4の方が、tmr2-Gよりもipt遺伝子の発現が高い(図2c)。
  4. 接ぎ木後6ヶ月経過した形質転換体では、活性型サイトカイニンのうち特にトランスゼアチン(tZ)の蓄積量が増大する(表1)。tmr2-4におけるtZ濃度が高いことから、主として内生tZ量の増加が上記の形態変化を引き起こしていると考えられる。
  5. 接ぎ木後、形態の変化は接ぎ木部より上部でのみ認められ、非形質転換体の台木側では認められない(図1b、c)。
成果の活用面・留意点
  1. 形質転換体において観察された形質のうち、葉の小型化は培養シュートにおいて認められるが、節間の短縮については培養シュートでは認められず(データ略)、接ぎ木後の植物体においてはじめて観察される。このように培養シュートと接ぎ木後鉢上げをした植物体とでは、観察される形態が異なる。
図表1 235591-1.jpg
図表2 235591-2.gif
図表3 235591-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2011/142a0_10_04.html
カテゴリ キウイフルーツ 栽培技術 台木 接ぎ木 わい化

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