ワビスケツバキ「太郎冠者」の花弁に含まれる新規フラボノール

タイトル ワビスケツバキ「太郎冠者」の花弁に含まれる新規フラボノール
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2006~2011
研究担当者 谷川奈津
中山真義
吉田久美
近藤忠雄
水野貴行
岩科 司
発行年度 2011
要約 ワビスケツバキ「太郎冠者」の花弁には新規の4配糖体型フラボノールである3-O-[2-O-キシロシル-6-O-(3-O-グルコシル-ラムノシル) グルコシル] ケンフェロールが存在する。この化合物を「太郎冠者」の学名にちなみウラクノサイドと命名する。
キーワード ウラクノサイド、ケンフェロール、太郎冠者、ワビスケツバキ
背景・ねらい ワビスケツバキ「太郎冠者」(Camellia uraku Kitamura)はワビスケツバキ品種の起源品種であると考えられている。形態的特徴および葉緑体DNA多型の研究から、「太郎冠者」は中国原産のC. pitardii var. pitardiiとヤブツバキの雑種であると推定されている。花弁のアントシアニン生合成関連化合物を指標とする化学分類的観点からも祖先種に関する知見が得られるものと考えられる。そこで本研究では「太郎冠者」花弁の主要フラボノイド化合物について同定を行う。
成果の内容・特徴
  1. HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析の結果、「太郎冠者」の花弁の主要フラボノイドとして4種類のフラボノールが検出される。
  2. 1H-NMR分析とESI-MSによる質量分析の結果から、2種類は既知のフラボノールであるケルセチン 3-ラムノシドとケンフェロール 3-ラムノシドと同定される。
  3. 残りの2種類のフラボノールについて、1次元NMR(1H-NMR、13C-NMR、HOHAHA)および2次元 NMR(COSY、HMQC、HMBC)分析、高分解能FAB-MSによる質量分析、UVスペクトル分析、および加水分解によるアグリコンと糖の同定を行った結果、1種類は既知のフラボノールの3-O-[6-O-(3-O-グルコシル-ラムノシル) グルコシル] ケンフェロールと同定される。
  4. 残りの1種類は、3-O-[2-O-キシロシル-6-O-(3-O-グルコシル-ラムノシル) グルコシル] ケンフェロールと構造が決められる(図1)。1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータを表1に示す。この4配糖体型フラボノールは新規化合物であり、「太郎冠者」の学名にちなんでウラクノサイドと命名する。
  5. 3-O-[6-O-(3-O-グルコシル-ラムノシル) グルコシル] ケンフェロールやウラクノサイドのように、基本構造に3-O-(6-O-ラムノシル-グルコシル)フラボノールを持つフラボノイドは、ツバキ属植物から多く報告されている。3-O-(6-O-ラムノシル-グルコシル) フラボノールは、ツバキ属植物が生合成するフラボノールの特徴的な基本構造の一つと考えられる。
成果の活用面・留意点 同定された4種のフラボノールは、「太郎冠者」の祖先種を解明する上で、化学分類的指標として利用できる。
図表1 235621-1.gif
図表2 235621-2.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/flower/2011/141h0_10_14.html
カテゴリ 品種

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