後産停滞を起こさないホルスタイン初産牛の分娩誘起法

タイトル 後産停滞を起こさないホルスタイン初産牛の分娩誘起法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2008~2011
研究担当者 鎌田八郎
松井義貴
桜井由絵
貝 健三
高橋克成
佐々木健彦
発行年度 2011
要約 デキサメタゾンとプロスタグランジンを用いて分娩誘起したホルスタイン初産牛に対し、子牛の娩出後にオキソアラキドン酸を注射すると後産停滞が回避できる。また、本法の昼分娩確率は約8割であり、畜産農家を深夜の分娩介護から解放できる。
キーワード 乳牛、胎盤剥離、オキソアラキドン酸、昼分娩、分娩誘起、後産停滞
背景・ねらい 畜産の生産現場では、担い手の高齢化が進み、労働負担の軽減が強く求められている。特に分娩は厳密な時刻の予測が困難であり、深夜になった場合の分娩介護は重労働となっている。またウシの繁殖成績の低下傾向には歯止めがかからず、その原因のひとつに難産を含めた不適切な分娩管理が上げられる。これらの問題を解決するためには、分娩の日時を調節する技術が必要となるが、ホルモンを用いた分娩誘起法の場合、後産停滞が高率で発生するため、広くは使われていない。そこで、新規に見いだした胎盤剥離誘導活性を持つオキソアラキドン酸(oxoETE)を用いて、後産停滞の起きない安全な分娩誘起方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ホルスタイン初産牛に対し、分娩予定8日前の朝7時にデキサメタゾン(DEX)2.5mgを皮下注射し、その24時間後にプロスタグランジンF2α(PG:ジノプロスト)50mgを筋肉内注射すると、翌日分娩が誘起される。
  2. 上記分娩誘起法を用いると、通常労働時間(6:00~20:00)内に分娩する確率は約8割である。
  3. 上記分娩誘起法を用いた場合の子牛の生存率は95%である。
  4. 上記方法で胎子を娩出した母牛のうち、PG投与から胎子の娩出までの時間(分娩誘導時間)が30時間以上のウシに対し、娩出後4時間に頸静脈から生理食塩水に溶かしたoxoETE5~7mgを注射すると、処置から7時間以内に約8割の確率で胎盤が排出される(図1)。一方、無処置では胎盤は排出されない。
  5. 上記処置をした母牛の繁殖機能は正常で、その後受胎する。
  6. oxoETEは白血球や上皮細胞で合成されており、正常分娩時の後産排出に働く天然の生理活性物質であることから、本法は自然な胎盤剥離過程を再現した方法である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 成果の内容に記述した処置スケジュールの対象はホルスタイン初産牛である。
  2. 分娩誘起処置及びoxoETE投与のタイミング・投与量の変更は効果を保証しない。
  3. 分娩誘導時間が30時間未満の場合は無処置でも胎盤が排出される。
図表1 235649-1.gif
図表2 235649-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2011/130b0_10_01.html
カテゴリ 乳牛 繁殖性改善

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