タイトル |
コンクリートダムの安全性を監視する埋設型ワイヤレスセンサ |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2009~2011 |
研究担当者 |
中嶋(浅野)勇
田頭秀和
林田洋一
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発行年度 |
2011 |
要約 |
農業用ダム等のコンクリートに埋設し、温度、鉄筋応力、歪等を長期間安定的に計測できるワイヤレスセンサである。ケーブルが無いために設置性、耐雷性に優れる。通信距離は最大24m、1日1回の計測頻度で約10年の連続モニタリングが可能である。
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キーワード |
ワイヤレスセンサ、鉄筋コンクリート、モニタリング、ストックマネジメント
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背景・ねらい |
農業水利施設の老朽化に伴う突発的な施設の故障・破壊リスクが増大する中、施設を適切に維持管理していくためには、施設の健全性と性能を確実に監視できる高精度、安定的なセンシング技術の開発が必要である。従来型のケーブル付きセンサでは、ケーブルが原因となり断線や雷による故障が発生する等ケーブルによる計測の安定性や設置の自由度の低下が問題とされている。本研究では、雷に対する安定性や設置の自由度に優れる計測センサの開発を目的として、コンクリート深部に埋設可能な埋設型ワイヤレスセンサを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ワイヤレスセンサの通信システム及び試作器を図1に示す。通信システムは通信コイルを内蔵した送信器及び受信器から構成される。1台の送信器で118台の受信器への命令とデータ回収ができるマルチセンサシステムを構築する。固体中を透過可能な低周波電磁波を用いることによりコンクリート中でのデジタル無線通信を実現する。
- センサはバッテリーを内蔵しており、直径48mm、長さ130mmで直接コンクリートに埋設できる。1日1回の計測で約10年の連続モニタリングが可能である(図1)。
- センサの通信距離は、送受信装置とセンサの位置関係、鉄筋などの影響を受ける。
- 送信器と受信器(センサ)の位置関係により受信強度が変化する(図2)。送信器と受信器の通信軸が一致する場合の(通信角度0°)の受信電圧を100%とすると、通信角度が45°では67%、通信角度が90°では0%に低下する。
- 受信器と鉄筋が近接すると鉄筋に誘電起電力が発生し受信電圧が低下する。図3に受信電圧と受信器と鉄筋の距離の関係を示す。受信器を鉄筋から3cm以上離すことによって受信電圧の低下を回避することができる。
- 設置の際は送信器と受信器の通信軸を一致させることで、最も効率的に通信を行うことができる。
- 重力式コンクリートダムの天端に受信器をダム深部の監査廊に送信機を設置し、ダム堤体コンクリートを透過した通信が可能であるか現場通信試験を実施した(図4)。通信距離が長くなると受信強度は低下するが、最大24mの厚さのコンクリートを透過して無線通信が可能であることを確認した。
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成果の活用面・留意点 |
- ワイヤレス通信は環境ノイズの影響を受ける。実際の計測では、事前に環境ノイズを測定しノイズが最小となる地点に選定し、計測することが望ましい。
- 耐水圧性は0.5MPaである。地中および水中への設置および無線通信も支障はない。頭首工、大規模水路等のモニタリングに活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2011/411a0_10_01.html
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カテゴリ |
ストック
センシング
水管理
モニタリング
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