トランシーバーを活用した農業用水路の低コスト・省力的な管理方法

タイトル トランシーバーを活用した農業用水路の低コスト・省力的な管理方法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2009~2011
研究担当者 森 充広
渡嘉敷勝
中嶋 勇
西原正彦
中矢哲郎
森 丈久
発行年度 2011
要約 トランシーバー(特定小電力無線)を用いて、農業用水路の水位情報やひび割れ挙動など要点検箇所をモニタリングするシステムである。携帯電話網を利用した既存システムと比較すると、本システムは約6割のコストで設置でき、観測通信費用も無料である。
キーワード ICT、特定小電力無線、農業用水路、小規模分散、省力的管理
背景・ねらい 農家の人口減少や高齢化、維持管理予算の減少により、農業水利施設の保全管理体制の脆弱化が懸念されている。特に、小規模分散の末端農業水利施設を抱える土地改良区では、施設の効率的な維持管理、操作管理が難しい。そこで、ICT(Information and Communication Technology)を用いて農業用水路の水位などの情報を低コストでモニタリングするシステムを構築し、農業水利施設管理上の異常を早期に発見することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 開発したシステムは、制御用パソコンと制御装置から構成される監視局と、センサー(水位計など)と制御装置から構成される観測局からなる。監視局と観測局の通信は、通信費が無料の特定小電力無線を用いて情報を相互に伝達する。特定小電力無線による通信距離は、つくば市内において晴天時3.3kmである。多段中継することにより通信距離を伸ばすことが可能である。設置の概要を図1に示す。維持管理に必要となる水位などの情報を監視局に集約するとともに、あらかじめ設定した閾値を超える異常値が観測された場合に、管理者の携帯電話等に電子メールで通知する機能を備えている。
  2. 2カ所の貯水槽AとBに水位観測局を設置し、AからBに送水するための水中ポンプをA貯水槽内に設置した。B貯水槽の水位が1.75mを下回ると自動的にポンプが作動してA貯水槽から送水を開始し、B貯水槽の水位が1.90mを超えると送水を停止するような自動監視制御を行った結果を図2と図3に示す。本システムにより水位とポンプ流量をモニタリングすることによって、刻々と変化する維持管理情報を監視でき、B貯水槽の水位が設定した範囲に維持されている状況や貯水槽の利用実態などを把握できる。
  3. 茨城県筑西市において、農業用水路の上、中、下流の水位を7月中旬~9月上旬の約2ヶ月間長期モニタリングした結果を図4に示す。落雷によると思われる制御基盤の故障(8/14~15)を除けば、設置箇所から直線距離で約1.5km離れた土地改良区事務所で水位状況を安定して確認できている。
  4. 携帯電話等を用いた水位観測システムと比べると、本システムは約6割の価格で設置でき、設置後の通信費も無料であるため、低コストとなる。
  5. 本システムを活用し、同時に複数地点で農業用水路の水位データをモニタリングし、その水位データを解析することによって、農業用水路の維持管理上問題となる土砂堆積や漏水等の異常を発見することができる。
成果の活用面・留意点
  1. 災害時においても通信が可能であるため、農業用水路だけでなく、多様な農業水利施設のモニタリングに利用できる。
  2. 特定小電力無線の通信距離は、天候、設置位置の高さ、周辺のノイズなどに影響を受けるため、事前に通信可能距離を確認する必要がある。
図表1 235716-1.jpg
図表2 235716-2.gif
図表3 235716-3.gif
図表4 235716-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2011/411b0_10_05.html
カテゴリ ICT コスト 低コスト 水管理 モニタリング

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