水路縦断測量による沈下した水路に対する水理機能診断手法

タイトル 水路縦断測量による沈下した水路に対する水理機能診断手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2009~2011
研究担当者 中田 達
樽屋啓之
田中良和
発行年度 2011
要約 沈下が発生した水路において、溢水・流量不足・漏水といった水理機能の性能低下をいち早く発見するために、事前の聞き取り・文献調査などをもとに測量調査計画を立て、通水断面の変化に関する機能診断を実施する。
キーワード 水理機能診断、不同沈下、コンクリート開水路、余裕高、漏水、水路システム
背景・ねらい 長期供用下の水路においては、沈下によってバレルごとの縦断的・横断的な変位がみられ、溢水や下流での送水流量不足や、バレル間の目地損傷部などからの漏水といった機能低下現象が現れる。従来、そのような事例に対して事後保全的な補修対策がなされてきたが、今後は、予防保全に向け、補修・更新事業計画を性能照査型設計にしたがって策定していく必要がある。しかし、水路の構造的な変状や劣化に対する水利用・水理機能の診断手法は未確立である。特に水路の沈下が水理機能に及ぼす影響の評価事例を蓄積する必要がある。そのため、沈下が生じた水路の水利用・水理機能の診断項目とそれぞれに必要な調査項目を整理し、沈下による水路の機能診断手法として提案する。
成果の内容・特徴
  1. 水路の有する水理学的機能のうち、通水性、水密性、および分水制御性が沈下によって性能低下を生じる。それぞれの性能に対する機能診断項目と診断の基本データとなる調査項目を明らかにする。調査項目を表1に示す。
  2. 機能診断に利用できる資料を整理し表2に示す。周辺の表層地質やボーリング調査(N値)と対象地区の工事履歴等を対応させ、水路システム内の機能低下が生じている区間と低下を引き起こした要因が推定できる。施設管理者等への聞き取り調査とともに、機能低下が懸念される区間において表1に示される調査を実施し、調査項目に対しての診断・評価を行う(図1)。
  3. バレル単位での測量調査による現況の水路敷高と竣工時の図面等による計画時の水路敷高との差をとり、水路の沈下量を推定できる(図2)。現地での測量調査により、水路の沈下に伴う急変流や局所的な水頭損失の発生の有無、水位痕跡や水路壁の摩耗状態を把握し、機能低下の有無を確認できる。また、変状前後での水面形解析による下流や分水工周辺での水位の変化、死水量の推定などから、通水性や分水制御性への影響を評価できる。
  4. すでに補修・更新事業がなされた水路システムにおいては、現況の水理縦断図と工事履歴等を対応させることで、補修履歴の把握とともに、補修後の再劣化の有無などの追跡調査が可能となる。図2の水路システムの事例では、溢水の危険のある区間での水路壁を嵩上げによる事後保全が図られ、余裕高が確保されていると診断できる。
成果の活用面・留意点
  1. 沈下した水路の改修時に要求される水理学的性能を明示することで、補修の要否ならびに工法の選定を判断するための情報を提供できる。
  2. 現地踏査は、日常管理を通じて水路システムの状況を熟知する施設管理者(土地改良区等)と協働して実施することが望ましい。
図表1 235718-1.gif
図表2 235718-2.gif
図表3 235718-3.gif
図表4 235718-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2011/411b0_10_07.html
カテゴリ 診断技術

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