タイトル |
非破壊調査法による地盤の亀裂範囲簡易探査手法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2009~2011 |
研究担当者 |
井上敬資
中里裕臣
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発行年度 |
2011 |
要約 |
電気探査手法を用いて地震等によって発生した地盤の亀裂部に注入した溶液の浸透範囲を簡易に推定することによって、地表面から地盤の亀裂範囲を簡易に非破壊で探査できる。
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キーワード |
地震、被災範囲、電気探査、2次元解析、亀裂
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背景・ねらい |
大規模地震が発生した場合、ダムやため池において亀裂等が発生しており、2次被害を与える可能性があり、早急な地盤内の亀裂範囲の把握が必要である。本研究では地表面から地盤内の亀裂状況を非破壊で迅速に計測する電気探査により、地震で発生した亀裂等の被災範囲を把握する手法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本手法では、地震によって発生した亀裂部に、石灰水等の電気伝導度の高い物質を流し込み、その浸透範囲を電気探査から推定する。注入前後の直交2測線の2次元電気探査から、比抵抗分布を計測し、比抵抗変化率を逆解析することにより、注入物質の浸透範囲の推定を行い、亀裂部を探査する(図1)。
- 図2に示すように、亀裂は深さと広がりを持つ3次元構造であり、2次元電気探査により比抵抗分布を解析した場合には解析上の偽像を含むが、亀裂に対して平行・直交の2測線を検討することにより、深度方向の推定誤差を緩和し、亀裂範囲を2次元解析から簡易に探査することができる。
- 数値実験の結果では、亀裂に平行する測線において、比抵抗の変化がある水平範囲はモデル亀裂長さLに対応しており、注入材料の亀裂方向の広がりを把握することが可能である(図3-a)。亀裂に直交する測線において、亀裂深さD/亀裂長さLが1.0より大きい場合は、推定深さと実深さの相関は悪くなるが、D/Lが1.0より小さい場合は、注入材料の深度方向への広がりを推定することが可能である(図3-b)。
- 図4はD/Lが1.0より小さい条件で、石灰水が充填された鉛直方向の範囲を推定できることを示しており、模型実験においても数値実験と同様な結果が得られることが確認されている。
- 亀裂を充填した石灰水は亀裂部周辺地盤へ浸透するため、浸透過程を連続的にモニタリングすることで、亀裂部および周辺地盤の緩み領域を探査することができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 亀裂幅Wが電極間隔の0.1倍~0.5倍までの検討であり、細い亀裂幅の場合は電極間隔を狭める必要がある。
- 地下水面以下等、注入物質が浸透しない範囲は検出が困難である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2011/412a0_10_01.html
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カテゴリ |
モニタリング
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