新系統遺伝子組換えダイズMON89788の定量分析法の開発および妥当性確認

タイトル 新系統遺伝子組換えダイズMON89788の定量分析法の開発および妥当性確認
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2011~2011
研究担当者 高畠令王奈
真野潤一
古井 聡
橘田和美
発行年度 2011
要約 リアルタイムPCR法を利用した、新規遺伝子組換えダイズMON89788の定量検知法を開発した。本検知法は、混入率が0.1%の試料においても、20%以下の室間精度で定量が可能であり、我が国の遺伝子組換え食品検査の公定法として採用される見通しである。
キーワード 遺伝子組換え、定量分析、ダイズ、リアルタイムPCR、妥当性確認
背景・ねらい 我が国では、遺伝子組換え(GM)農産物の食品としての利用に関し、表示制度が導入されている。非GM農産物は任意表示であるが、GM農産物の不使用を表示するためには、原料農産物が生産から流通の過程において非GM農産物として分別管理されることが求められる。適切な分別生産流通管理の目安として、GM農産物の非意図的な混入が5 %まで許容されている。国による表示制度の検証、あるいは企業による製品の品質保証の面等から、信頼のおける検知法の整備が強く求められている。これまで、当研究グループが中心となり、様々なGM農産物検知技術の開発を行い、表示制度の担保に貢献してきた。

GMダイズに関しては、10年以上にわたりRoundup Ready ダイズ(RRS)が主要系統としてほぼ独占的に栽培されてきたが、新系統MON89788の商業栽培が開始され、我が国でも食品として利用される可能性が出てきたことから、検知法の開発・整備が強く求められるにいたった。そのため、MON89788の定量分析法を開発し、妥当性確認を行った。
成果の内容・特徴
  1. これまで、GMダイズの検知法に関しては、RRS特異的検知法しか整備されておらず、新系統MON89788の検出には対応できていなかった(図1)。さらに、GM農産物に幅広く導入されているCauliflower mosaic virus由来の35S promoter(P35S)領域もMON89788には存在しないことから、系統特異的領域を用いて検知法の開発を行った。
  2. MON89788検知のためのPCR標的領域は、RRSを含む他のGM農産物には反応せず、MON89788特異的であることが確認された(図2)。
  3. 公定法として採用されるには、開発された分析法の妥当性確認を行うことが重要である。分析法の妥当性確認方法としては、複数の試験室が、詳細に作成された手順書に従ってブラインド試料を分析し、精度を評価する試験室間共同試験が最も望ましいと考えられている。MON89788特異的定量分析法の試験室間共同試験を実施し、性能指標を評価したところ、MON89788の混入率が0.1%の場合であっても、測定値のかたより(真度)を示す偏差は約5%、ばらつき(精度)を示す室間再現相対標準偏差は20%以下であり、定量下限値は0.1%以下であることが示された(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象 遺伝子組換え検査を実施する各種検査機関
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 収量性に優れた従来品種を母本とするMON89788は、RRSに比べて1割程度の増収量が期待されることから、今後のGMダイズの主要系統になると予想される。今後、輸入農産物等に混入する可能性が高いことから、本法の公定法化後には、我が国の遺伝子組換え検査実施機関において幅広く利用されると考えられる。
  3. その他 MON89788検知法開発に関しては、商業栽培が開始された2009年前後から、官民問わず多くの問い合わせを受けている。
図表1 235750-1.png
図表2 235750-2.jpg
図表3 235750-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2011/180d0_01_34.html
カテゴリ シカ 大豆 品種

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