栄養成分による体内時計のリセット

タイトル 栄養成分による体内時計のリセット
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2008~2011
研究担当者 大池秀明
小堀真珠子
発行年度 2011
要約 マウス肝臓の体内時計は、食餌をすることによりリセットされる。食餌摂取直後に時計遺伝子Dec1およびPer2が誘導される。ブドウ糖とアミノ酸の混合栄養液の注射によって、食事摂取と同様に、肝臓の体内時計がリセットされる。
キーワード 体内時計、栄養摂取、アミノ酸、遺伝子発現解析
背景・ねらい 脂肪の燃焼、免疫、DNA修復など基礎的な生命現象の多くは1日の中でリズムを持っており、そのリズムは体内時計によって決定されている。体内時計の乱れは、代謝調節をはじめとする生理機能を低下させ、肥満や生活習慣病、ガンなどを引き起こしやすくする。最近では、朝食を抜く人や夜食を食べる人が増えており、このような不規則な食生活は、体内時計を乱す直接の原因になっている。

ヒトを含めた動物の体内には、多くの組織に体内時計が備わっている。身体の体内時計は、食事時刻に合わせたリズムを刻んでおり、特にエネルギー代謝に直接関わる肝臓は、食餌の摂取時刻や摂取内容による影響を受けやすい。そこで、食餌遅延と、各栄養素が肝臓の体内時計に及ぼす影響を評価、解明する。
成果の内容・特徴
  1. 規則正しく定時に食餌を与えていたマウスに、1日だけ、数時間遅延させて食餌を与えると、肝臓の体内時計が1~4時間程度遅れる(図1)。肝臓の体内時計は毎日(ヒトの場合は毎朝)の食餌情報によりリセットされる。
  2. 食餌の代わりに、ブドウ糖とアミノ酸の混合栄養液をマウスに腹腔内注射すると、食餌を摂取した場合と同様に肝臓の時刻合わせ(時計のリセット)がなされる。また、ブドウ糖溶液のみ、あるいはアミノ酸溶液のみではこの現象は起こらないことから、肝臓による食餌情報の感知には、ブドウ糖とアミノ酸の両者が必要である。
  3. 食餌摂取の前後に肝臓で働いている遺伝子を、DNAマイクロアレイにより解析すると、時計遺伝子であるDec1およびPer2が食餌摂取の直後に誘導される(図2)。この2つの遺伝子は体内時計のリセットに寄与する。
成果の活用面・留意点
  1. 規則正しく朝食を摂取することで、規則正しい体内時計(代謝リズム)が維持される。
  2. 成分としては、糖分とアミノ酸(タンパク質)を含む、バランスの良い食事(朝食)が体内時計のリセットに重要である。
  3. 身体の体内時計は食事によってリセットされるのに対し、中枢(脳)の体内時計は光によってリセットされる。食事リズムのみによって、すべての体内時計を制御できるわけではない。
図表1 235753-1.png
図表2 235753-2.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2011/310b0_10_04.html
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