アレルギーモデル動物における血管透過性を利用したアレルギー重症度の定量方法

タイトル アレルギーモデル動物における血管透過性を利用したアレルギー重症度の定量方法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2007~2011
研究担当者 後藤真生
石川祐子
新本洋士
八巻幸二
発行年度 2011
要約 抗原の経口摂取のみで感作を誘導した遺伝子組換えマウスに、皮膚アナフィラキシー反応を惹起させて即時型アレルギーの症状である血管透過性亢進を誘発し、血管から漏出した血漿量を症状の重症度指標とする評価方法を開発する。本方法により、食品がアレルギーの症状を抑制、またはアレルギー罹患を予防する活性などを評価することができる。
キーワード アレルギーモデル動物、皮膚アナフィラキシー、症状の定量化、抗アレルギー活性
背景・ねらい 農産物等の抗アレルギー活性の探索には、アレルギーモデル動物を用いることが多い。しかし、マウス等の実験動物は一般にアレルギーを起こしにくいため、免疫増強剤(アジュバント)と抗原の混合物を腹腔内に注射するなど、過剰な抗原感作が必要となり、ヒトのアレルギーとは乖離している。さらに重症度の評価にも、症状ではなく、症状と相関の低い血清IgE抗体価が用いられることが多い。また、即時型アレルギーモデルと考えられる皮膚アナフィラキシー反応の重篤度評価には、血漿成分をダイレクトブルーなどの色素で標識し、血管透過性亢進により血漿成分が漏出した箇所の直径、あるいは漏出箇所から有機溶媒で抽出した色素量などが用いられるが、作業が煩雑であり、測定誤差も大きい。そこで、本法ではヒトのアレルギーに近い発症機序を有するアレルギーモデル動物の確立と、それを用いたアレルギー症状評価の定量化を目指した。本法により、農産物・食品に見られるような弱い抗アレルギー活性であっても効率的に検出しうるすることができる。
成果の内容・特徴
  1. 当該モデルは、卵白アルブミン(OVA)に特異的に応答する遺伝子組換えマウス(DO11.10)にOVAを経口投与するのみで短期間(2週間)に感作、特異抗体の産生などのアレルギー性免疫応答を誘導できる。また、抗原の皮内接種により惹起された即時型アレルギー反応である皮膚アナフィラキシー反応の症状重篤度を、バイオイメージャー等を用いて動物を生かした測定することも可能である(図1)。
  2. 蛍光色素で標識することにより血漿成分の漏出量を蛍光強度として直接測定できるため、簡便・安全かつ従来法より1/10以下の時間で即時型アレルギー症状の重篤度を定量できる(図2)。
  3. 当モデルは、感作から発症(皮膚アナフィラキシー様反応)までの免疫応答を時系列に沿って評価できる。そのため、脱顆粒抑制や抗ヒスタミンなどの抗アレルギー活性だけではなく、図3に示すようにアレルギー予防活性、アレルギー発症リスクの検討にも用いることが可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:抗アレルギー性食品の開発業者、アレルギーリスク等の検査機関、アレルギー研究を行う大学・研究機関など
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:企業との共同研究(3件)において、当モデルにより食品の抗アレルギー性評価を行い、成果の一部として特許出願を行っている。
  3. その他:学会および食品総合研究所の成果展示会等において、いくつかの企業・大学から当モデルの使用についての問い合わせがある(10件)。
図表1 235755-1.jpg
図表2 235755-2.png
図表3 235755-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2011/310c0_01_42.html
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