多収・良食味で直播栽培に適する複合耐病性水稲新品種「たちはるか」

タイトル 多収・良食味で直播栽培に適する複合耐病性水稲新品種「たちはるか」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2005~2011
研究担当者 坂井 真
田村克徳
田村泰章
片岡知守
梶 亮太
発行年度 2011
要約 「たちはるか」は、成熟期が「あきまさり」並の晩生種で、移植、直播栽培の双方で倒伏に強く多収である。いもち病、縞葉枯病に抵抗性で、「ヒノヒカリ」に近い良食味である。酒造原料用に適するほか、主食業務用米としても利用が期待できる。
キーワード イネ、いもち病、縞葉枯病、多収性、DNAマーカー
背景・ねらい 米の需要が低迷する中でも、業務用の低価格な米の需要は外食・中食用途の伸びを受けて、堅調に推移している。また酒造メーカーや焼酎メーカーの中には、食用米に近い品質で安価に入手できる原料への要望が存在する。こうした背景から、直播栽培等による低コスト生産が可能で、一定水準の品質・食味を備えた品種が求められてきた。そこで、これらのニーズに応えるため、暖地の普通期栽培に適し、良食味性と多収性、耐倒伏性、耐病性を合わせ持つ低コスト栽培適性品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「たちはるか」(旧系統名:西海271号)は「西海飼253号(タチアオバ、高乾物生産性、穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1、縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvb-i保有)」と「中部111号(みねはるか、いもち病圃場抵抗性遺伝子Pi39保有)」を2005年に交配した後代よりDNAマーカーにより、Pb1Pi39およびStvb-iを合わせ持つ系統を選抜し、育成したうるち系統である。
  2. 「レイホウ」に比べ、出穂期は1日早く、成熟期は3日程度遅く「あきまさり」並で、九州北部の普通期では出穂期が “晩生の早”、成熟期は “晩生の晩”である。稈長、穂長は「レイホウ」よりやや長く、穂数はやや少ない(表1)。
  3. 移植での収量性は「レイホウ」を約20%上回り、多収品種の「あきまさり」より7%多収である。また直播栽培でも多収を示し(表1)、暖地の配付先でも多収である(表3)。
  4. 稈が太く、耐倒伏性は、移植、直播いずれの栽培条件でも強い。
  5. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii”と推定され、圃場抵抗性は葉いもち、穂いもちとも“強”で、縞葉枯病にも抵抗性である(表2)。
  6. 千粒重が25g前後のやや大粒で、玄米タンパク質含有率が「レイホウ」等より低いことから酒造用(掛米)として利用できる(表1、表4)。
  7. 玄米の外観品質は、腹白や乳白粒がやや多く発生するため「あきまさり」に劣り、「レイホウ」並かやや優る。食味は「ヒノヒカリ」に近い“上中”である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 適地は暖地および温暖地の平坦部である。耐倒伏性、耐病性の強い多収の晩生種として、直播栽培も含めた低コスト栽培に適する。
  2. 京都府の酒造メーカーが低コスト生産が可能な原料米として使用を計画しており、2012年度から岡山県の大規模農業法人が当面30haの作付けを予定している。
図表1 235816-1.png
図表2 235816-2.png
図表3 235816-3.png
図表4 235816-4.png
図表5 235816-5.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2011/112a0_10_06.html
カテゴリ いもち病 栽培条件 直播栽培 縞葉枯病 新品種 多収性 多収良食味 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性遺伝子 低コスト 低コスト栽培 品種 良食味

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