特定外来生物アレチウリの侵入・分布拡大メカニズム

タイトル 特定外来生物アレチウリの侵入・分布拡大メカニズム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2005~2011
研究担当者 黒川俊二
小林寿美
池田堅太郎
発行年度 2012
要約 我が国に分布するアレチウリの全遺伝的変異の9割が地域内に存在すること、河川敷集団の遺伝子型組成の変化と飼料畑からの推定種子流入地が一致していることから、アレチウリは全国の飼料畑に一次侵入集団を形成し、水流で分布拡大していると考えられる。
キーワード 特定外来生物、アレチウリ、侵入経路、ISSR、葉緑体DNA
背景・ねらい 特定外来生物に指定されているアレチウリは、つる性で成長が速いため、畜産飼料畑で甚大な被害をもたらしているだけでなく、河川敷などに侵入し固有の生態系を攪乱するなど生物多様性への悪影響も大きい。さらに最近水田輪作地帯の大豆畑への侵入も確認され、地域によっては壊滅的な被害をもたらしている。水田輪作地帯の一部の圃場に侵入すると、数年でその地域全域にまん延することから、侵入・分布拡大メカニズムを解明し、広域管理によって分布拡大を防止する必要がある。 そこで、東北と中部地方の広い範囲の各地域に分布するアレチウリ集団の遺伝構造を解析して侵入メカニズムを明らかにするとともに、阿武隈川河川敷にまん延するアレチウリの種子源となっている集団を特定することにより分布拡大メカニズムを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 調査した全遺伝的変異をAMOVA(Analysis of Molecular Variance)解析によって地域内、地方内、地方間の割合に分けたところ、88.4%が地域内に存在しており、さらに東北と中部地方という花粉の交流が少ないと思われる地方間でも遺伝的分化係数が小さい(Gst=0.053)(表1)。
  2. 阿武隈川の最上流地域周辺で他からの種子流入が考えられない山岳地帯では、飼料畑付近のみにアレチウリが分布している(図1)。その集団の遺伝子型組成は上流域の河川敷集団と似ている(データ略)。
  3. 葉緑体DNA解析により検出された5つの遺伝子型(A-E)の分布と酪農地帯の飼養頭数に基づく種子流入量推定解析の結果、主要な遺伝子型がDからEに変化する地点と種子流入が推定された中流域の場所が一致している(図2)。
  4. 以上のことから、アレチウリは輸入飼料を介した複数回の侵入により各地の飼料畑に一次侵入集団を形成し、そこから水の流れによって分布拡大していると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 特定外来生物アレチウリを流域レベルで管理するための戦略策定に活用できる。
  2. 河川敷などのアレチウリ管理を行う際には、一次侵入地でその後の分布拡大源と考えられる飼料畑の管理に重点をおく必要がある。
  3. 流域レベルなど広域で管理するためには、水田作関係者や畜産関係者だけでなく、河川敷管理者などを含めた協働管理体制を作る必要がある。
図表1 235937-1.png
図表2 235937-2.png
図表3 235937-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2012/152d0_02_10.html
カテゴリ 水田 大豆 乳牛 輪作

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