斑点米カメムシ、アカスジカスミカメの持続性合成フェロモン剤の開発

タイトル 斑点米カメムシ、アカスジカスミカメの持続性合成フェロモン剤の開発
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2010~2012
研究担当者 安田哲也
望月文昭
安田美香
武田 藍
奥 圭子
樋口博也
渡邊朋也
山下美与志
福本毅彦
発行年度 2012
要約 アカスジカスミカメのフェロモン成分の化合物をポリエチレンチューブに充填したチューブ製剤は、合成フェロモン剤としておよそ1ヶ月間アカスジカスミカメの雄成虫を誘引することができる。
キーワード アカスジカスミカメ、イネ、斑点米、性フェロモン、モニタリング
背景・ねらい アカスジカスミカメは、斑点米を発生させコメの品質を著しく低下させる。本種雄成虫は雌成虫に誘引され、雌成虫由来の性フェロモンの存在が示されている。本種のフェロモン成分の化合物を誘引源としたトラップが開発されれば、野外で本種の発生消長を把握できると考えられるが、アカスジカスミカメから同定されたフェロモン成分はHexyl butyrate、(E)-2-Hexenyl butyrateおよび(E)-4-Oxo-2-hexenalで構成されるため、昆虫のフェロモン成分としても揮発性が比較的高く、フェロモン剤の一般的な担体として使用されているゴムを使用する合成フェロモン剤では誘引活性が時間経過とともに急速に低下し、安定したモニタリング資材とはならない。 そこで、フェロモン成分の放出量を制御できる素材を用いて、誘引活性が一定期間持続するアカスジカスミカメの合成フェロモン剤の開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. 合成フェロモン剤の一般的な担体として使われるゴムにアカスジカスミカメのフェロモン成分の化合物を含浸させた合成フェロモン剤(ゴム製剤)は時間経過とともに雄成虫に対する誘引活性が急速に低下するが、ポリエチレンチューブに化合物を封入した合成フェロモン剤(チューブ製剤;図1左)は1ヶ月間誘引活性が持続する(図2)。
  2. チューブ製剤はゴム製剤よりも雄成虫に対する誘引活性が有意に強い(表1)。なお、ゴム製剤は未交尾雌10頭と同等の誘引活性を示す(データ省略)。
  3. チューブ製剤には針金が入っているので、ねじって止めることが可能であり、粘着板トラップの場合には粘着板の上辺にクリップを利用する方法などで容易に固定することができる(図1右)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:公立研究機関及び普及センター、防除所、JA関連組織など
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道道南地方、本州、四国、九州
  3. その他:公的研究機関・病害虫防除所、大学などから本製剤の利用に関して問い合わせがあり、多くの機関に試作品の提供を行っており、本製剤については平成25年6月に市販化された。なお、本製剤を用いた発生予察に係わる手法については別途実施されている発生予察の手法委託事業「発生予察調査実施基準改良事業」において検討されており、「発生予察事業の調査実施基準」の改訂に向けた検討が進められている。なお、本フェロモン剤の利用はアカスジカスミカメの発生予察用に限られ、交信攪乱等の防除目的の資材では無い。
図表1 235939-1.png
図表2 235939-2.png
図表3 235939-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2012/152e0_01_30.html
カテゴリ 病害虫 アカスジカスミカメ くり 市販化 性フェロモン 斑点米 斑点米カメムシ 病害虫防除 フェロモン 防除 モニタリング

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