トマト果実形成における内生および外生サイトカイニンの作用と調節機構

タイトル トマト果実形成における内生および外生サイトカイニンの作用と調節機構
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2008~2012
研究担当者 松尾 哲
菊地 郁
福田真知子
本多一郎
今西俊介
発行年度 2012
要約 開花期までのトマト子房の発達には内生のリボシド型サイトカイニン類とイソペンテニルアデニンが、受粉後の果実肥大にはtrans-ゼアチンが関与する。合成サイトカイニンであるホルクロルフェニュロンの処理は、細胞分裂促進によりトマト子房を肥大させる。
キーワード トマト、果実形成、サイトカイニン、CPPU
背景・ねらい ナス科果菜類の果実の着果と正常な肥大成長には、一般に受粉・受精と種子形成が必要であるが、冬期の低温・日照不足や夏期の高温等によって、これらが不良になるという問題が生じる。そのため、着果促進等にはオーキシン系のホルモン剤処理がなされているが、周年施設栽培では効果が不完全な時期もあり、さらなる技術開発が求められている。一方で、ウリ科果菜類等では、サイトカイニン類も着果促進等に使用されているが、その機構は不明であるとともに、ナス科果菜類への使用は認められていない。そこで、サイトカイニンの利用技術開発のための基盤的な知見を得るために、トマト果実形成における内生サイトカイニンの調節機構と外生サイトカイニン処理の効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 果実形成期のトマト子房において、サイトカイニン代謝酵素(IPT、LOG、CYP735A、CKX)をコードする遺伝子の発現パターンは、開花前から開花当日に高くてその後低下するもの(SlIPT3,4SlLOG8SlCKX1,7)と、開花前は低くて受粉1-5日後に高くなるもの(SlIPT1,2SlLOG2,6SlCYP735A1,2SlCKX3)の二つに分けられる(図1、データ一部省略、各遺伝子が関与する経路は図3参照)。SlCYP735A1,2は、trans-ゼアチン(tZ)の合成に関与する遺伝子であり、受粉後の子房で高い発現を示すことから、受粉によりこの経路が活性化すると考えられる。
  2. 果実形成期のトマト子房において、内生活性型サイトカイニンのうち、イソペンテニルアデノシン(iPR)、trans-ゼアチンリボシド(tZR)およびイソペンテニルアデニン(iP)含量は、開花当日に高く、その後急激に低下する(図2)。一方で、tZ含量は、開花後も上昇して開花5日後にピークとなり、その後低下する(図2)。これらのことは、内生サイトカイニンが、トマトの果実発達初期の二つの時期に機能していることを示しており、開花期までの子房の発達には、リボシド型サイトカイニン類(iPR、tZR)およびiPが、受粉後の果実肥大には、tZが関与していると考えられる(図3)。
  3. 合成サイトカイニンであるホルクロルフェニュロン(CPPU)を開花当日の未受粉のトマト子房に浸漬処理すると、処理量依存的に果実が肥大する(図4A)。CPPU処理によって肥大した果実果皮の細胞層数は、受粉したものと同等であるが、細胞の大きさは、受粉したものよりも小さいことから(図4B)、CPPU処理は、細胞肥大よりも細胞数の増加により、着果や果実肥大を促進する効果がある。
成果の活用面・留意点
  1. CPPUを利用した着果促進技術の開発や、トマトの果実形成過程におけるサイトカイニン類の作用機作解明に向けた基盤的な知見として活用できる。
  2. 用いたトマトは「マイクロトム」であり、栽培は人工気象室(25/20℃、14時間日長)で行った。
図表1 236009-1.png
図表2 236009-2.png
図表3 236009-3.png
図表4 236009-4.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2012/141g0_01_11.html
カテゴリ 施設栽培 受粉 トマト なす

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