フィールド端末機を用いた稲発酵粗飼料の生産履歴管理システム

タイトル フィールド端末機を用いた稲発酵粗飼料の生産履歴管理システム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2010~2012
研究担当者 浦川修司
松尾守展
喜田環樹
発行年度 2012
要約 稲発酵粗飼料の流通を円滑に推進するため、収穫調製時に得られる情報を圃場やストックヤードで簡易に収集し、ロールベールに貼付するラベル紙を印刷するとともにデータベースによって情報管理するシステムである。
キーワード 稲発酵粗飼料、国産飼料、生産履歴、流通
背景・ねらい これまで稲発酵粗飼料は地域内流通が中心であったが、広域流通体制を推進することによって飼料生産基盤の脆弱な地域の畜産農家においても、稲発酵粗飼料を良質で安全な国産流通飼料として利用できるようになる。また、稲発酵粗飼料を流通するにあたり、2011年度に「稲発酵粗飼料の流通基準(以下、流通基準)」が提案されたが、流通基準に対応するための生産履歴情報を収集・管理する人力作業は労働負担が大きい。そのため、コントラクター等が生産する稲発酵粗飼料の生産履歴情報を流通基準に準拠して収集・管理し、その情報を利用者である畜産農家やTMRセンターに提示するシステムを構築する。
成果の内容・特徴
  1. 流通基準では1圃場を1ロットとして、流通に供されるロールベールサイレージには、ロール毎に生産履歴項目を記載したラベル紙を貼付することを推奨している。本システムは流通基準に準拠し、収穫調製時の情報収集とラベル発行機能を有している。
  2. 本システムは入力補助シート、フィールド端末機としてタブレット型PC(以下TP)またはバーコードリーダ(以下BR)、移動基地局(ラベルプリンター、無線LANアクセスポイント)から構成されており、コントラクター等が収穫調製時に取得する情報を的確に収集して、生産現場でラベル紙を印刷できる(図1)。
  3. 生産履歴収集作業の流れとしては、事務所で収穫調製作業を行う圃場の情報(地番、圃場名等)と流通基準で規定されている項目(熟期、圃場状態、フィルム巻数等の8項目)を網羅したバーコード付入力補助シートを印刷する。次に収穫機のオペレータは作業開始前に入力補助シートの該当項目にチェックする。ベールラッパのオペレータは補助シートを受取り、TPまたはBRを用いて項目を読取って、その情報を移動基地局に無線伝送するとラベルが発行され、このラベルを各ロールベールに貼付する(図1)。
  4. 収穫機のオペレータとベールラッパのオペレータ間の情報伝達手段に補助シートを用いることで、収穫機とベールラッパが離れた場所で作業する場合でも通信用端末等を増やすことなく、履歴情報の収集と受渡しができる。なお、TP画面を補助シートと同様の構成にしたことで、TPのタップ操作による入力も簡易に行うことができる(図2)。
  5. コントラクターにとって生産履歴管理を行うことは、これまでの作業に新たに加わる作業であるが、ラベルを手書きする体制と比較した場合、TPまたはBRによる生産履歴管理作業は約1/3で行うことができる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本システムは「流通基準」に準拠しており、全国の稲発酵粗飼料を生産、流通しているコントラクターにおいて活用できる。ただし、栽培情報の管理には対応していない。
  2. ラベル印刷は生産現場を想定し、ラベルプリンターの輸送時の振動や防塵対策は考慮しているものの、屋外使用時の耐久性等は検討していない。
図表1 236025-1.png
図表2 236025-2.png
図表3 236025-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2012/120c6_03_18.html
カテゴリ 管理システム コントラクター 収穫機 ストック データベース 輸送

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