サルモネラ認識能が低下するTLR5一塩基多型(C1205T)の簡易検出法

タイトル サルモネラ認識能が低下するTLR5一塩基多型(C1205T)の簡易検出法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2008~2011
研究担当者 宗田吉広
皆川 遊
楠本正博
新開浩樹
上西博英
発行年度 2012
要約 サルモネラのべん毛およびサルモネラ菌体の認識を低下させる豚Toll様受容体5(TLR5)の一塩基多型(C1205T)を簡便に検出するための、アリル型特異的プライマーPCR(ASP-PCR)を開発する。
キーワード サルモネラ、TLR5、一塩基多型、ASP-PCR
背景・ねらい Toll様受容体5(TLR5)は細菌のべん毛(Flagellin)を認識するパターン認識受容体である。我々は豚のゲノム解析において、サルモネラのべん毛およびSalmonella Choleraesuis菌体の認識を低下させる豚TLR5の一塩基多型(C1205T)を見出している。in vitroの試験では、本一塩基多型(SNP)によるコドンの変化により、S. Typhimurium由来のFlagellinおよびS. Choleraesuis死菌体の認識能が低下することが証明されており、豚のサルモネラ菌の感染感受性や抵抗性と関連することが示唆される。そこで、本SNPの遺伝子型を簡易に検査するための、アリル型特異的プライマーPCR(ASP-PCR)の確立を行う。
成果の内容・特徴
  1. アリル型特異プライマーPCR(ASP-PCR)とは、検出したい一塩基多型(SNP)に特異的な塩基配列およびその一塩基前に、鋳型DNAと合致しないミスマッチ塩基を導入し、アニーリング温度を厳密にコントロールすることにより、目的のSNPを特異的に検出する方法である。
  2. 本研究で用いた、プライマーおよびPCRの反応条件、得られるPCR産物のサイズに関しては、表1に示すとおりである。
  3. 上記の条件で、遺伝子型既知の材料を用いて、ASP-PCRを実施したところ、図1に示す通り、C/T型では両者に、T/T型ではTアリル型特異プライマーの場合のみ、C/C型ではCアリル型特異プライマーの場合のみ200bpのバンドの増幅が認められ、正しい型別結果が得られる。
  4. ASP-PCRとシークエンスの両者を用いて、チェコ共和国で採取した豚の7品種、合計110頭のゲノムDNAを材料に当該SNPの型別を実施したところ、シークエンスで判読不能であった1検体を除いて、すべての検体でASP-PCRによる型別結果とシークエンスによる判読結果が一致し、本ASP-PCRの型別結果の正確性が示された。
  5. チェコ共和国の豚7品種のうち、ランドレース種とピエトラン種にサルモネラのべん毛およびS. Choleraesuis菌体の認識を低下させるT型アリルが認められ、その頻度はそれぞれ27.5%および30%であった(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本PCRはサーマルサイクラ―のある研究室であれば、世界中のどこでも簡易に検査が実施できるため、幅広く活用可能である。
  2. 本PCRで検出される一塩基多型は、サルモネラ菌の感染感受性や抵抗性と関連することが示唆されることから、豚の抗病性育種への活用が期待される。
  3. 本PCRで検出される一塩基多型の、in vivoでのサルモネラ菌の感染に対する効果については、現在「DNAマーカー育種の高度化のための技術開発」において検討中である。
図表1 236079-1.png
図表2 236079-2.png
図表3 236079-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2012/170c1_01_15.html
カテゴリ 育種 DNAマーカー 抵抗性 品種

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