炭素吸着剤の飼料添加はダイオキシン類の鶏卵蓄積を抑制する

タイトル 炭素吸着剤の飼料添加はダイオキシン類の鶏卵蓄積を抑制する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 グルゲ・キールティ・シリ
山中典子
谷村信彦
藤田寛之
岩切良次
本田和久
発行年度 2012
要約 木質バイオマスを原料とした炭素吸着剤を飼料に添加すると、採卵鶏に対し産卵成績を含め有害な生体影響を及ぼすことなく、鶏卵へのダイオキシン類の蓄積を抑制できる。
キーワード ダイオキシン類、炭素吸着剤、産卵鶏、鶏卵、毒性等量(TEQ)
背景・ねらい ヒトのダイオキシン類の摂取経路の90%は食品である。近年、EUを初めとする多くの国で鶏飼料を介したダイオキシン類の鶏卵に対する汚染事故が報告されている。わが国を含め、飼料および畜産物のダイオキシン類汚染に関する持続的なモニタリングが実施されているが、モニタリングだけでは突発的な汚染事故には対応できない。経済性と効率性を兼ね備えた飼料から卵へのダイオキシン類移行抑制手段があれば、突発的な事故発生時の被害を最小限に食い止めることができる。
そこで、過去に肉への蓄積抑制効果が認められた(動物衛生研究所成果情報:2010)木質バイオマスを原料としたダイオキシン類と親和性のある炭素吸着剤(フードセイバー®)を飼料に添加し、採卵鶏へのダイオキシン類暴露試験を行い、鶏へのダイオキシン類の吸収を阻害することによる鶏卵へのダイオキシン類移行抑制効果と生体への影響を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 24羽の雌性白色レグホン(ジュリア系)雛を通常の飼料で11週間飼育し、6羽ずつ、系群に分け、さらに20週間添加飼料によって飼育した。対照群には通常飼料「A群」と、活性炭を0.5%添加したものを与えた「B群」、曝露群には、ダイオキシン類のみを添加した「C群」と、ダイオキシン類+活性炭を0.5%添加した「D群」の4群を設定した。添加飼料のダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン+ポリ塩化ジベンゾフラン+コプラナーPCB)の濃度は約6ng-TEQ/kgとした。ダイオキシン類の定量分析は、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析装置(HRGC/HRMS)によって行った。
  2. 全ての群の増体に差はなく、病理組織学的検査では、臓器・組織での異常所見は認められない。血液生化学検査でも、炭素吸着剤の添加による有意な差は認められない。さらに、産卵鶏の増体、産卵数、卵重、産卵率および鶏卵中の脂肪含量について全ての群で有意な差は観察されなかった (表)。炭素吸着剤の生体への有害影響はほとんどないと考えられる。
  3. ダイオキシン類添加群(C群)では、産卵開始から徐々にダイオキシン類濃度の上昇がみられる。一方、ダイオキシン類+炭素吸着剤添加群(D群)では、産卵開始時から全く上昇が認められず、低い値を維持しており、卵への移行抑制効果が認められる(図1)。また、産卵系の組織中のダイオキシン類蓄積の大幅な抑制効果が認められる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 炭素吸着剤を飼料に添加すると、卵中の粗脂肪含量には影響がないものの、データを示していないが、脂溶性ビタミンは若干低下する。産卵鶏への健康影響は見られず、低下した値も食品標準成分記載の値以下ではないことから、吸着剤の実用性に影響することはほとんどない。
図表1 236083-1.png
図表2 236083-2.png
図表3 236083-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2012/170d1_02_20.html
カテゴリ 鶏 モニタリング

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