タイトル |
高機能型農地整備技術の導入効果と課題 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2010~2012 |
研究担当者 |
福与徳文
遠藤和子
藤森新作
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発行年度 |
2012 |
要約 |
高機能型農地整備技術の一つであるFOEASの導入地区では、地下水位制御機能が高く評価され、水田の汎用化が進んでいる。今後、FOEASが有効に活用されるためには、農業水利施設の維持管理など、ソフト面の課題を地域で解決する必要がある。
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キーワード |
高機能型農地整備技術、地下水位制御、水田汎用化、農業水利施設の維持管理
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背景・ねらい |
高機能型農地整備技術が地域に導入され有効に機能するためには、技術的課題(ハード面)の解決だけではなく、地域で解決しなければならない様々な課題(ソフト面)がある。 本成果では、高機能型農地整備技術の一つである地下水位制御システムFOEASに焦点を合わせて、FOEAS利用者へのアンケート調査や聞き取り調査によって、その導入効果とFOEASを有効に機能させるために地域で解決すべき課題を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- FOEAS導入地区(2010年10月時点、FOEASによる営農を開始した29地区)を対象としたアンケート調査によれば、「田畑輪換が容易」、「圃場全面の水位制御」、「田面排水の迅速化」といった水のコントロールに関する性能への評価が高い(図1)。
- FOEAS施工前は、水田に「水稲のみ」を作付けていた地区が半数を占めるが、施工後は「水稲+畑作物」あるいは「畑作物のみ」の地区が多くを占めるようになり、畑作物の導入が進んでいる(図2)。
- 「FOEASが有効に機能するために地域で解決すべき課題」としては、「農業水利施設の良好な維持管理」が最も重視されており、「担い手後継者育成」、「担い手農家に農地集積」がそれにつづく(図3)。
- 聞き取り調査を実施した4事例(表1)では、通年通水が不可能な事例(S、N)では「通水期間の柔軟」が、経常賦課金の高い事例(A)では「水利費の抑制」が重視されるなど、地域によって課題の重要度は異なるものの、「農業水利施設の良好な維持管理」はいずれの事例でも重要度が高い。
- アンケート回答地区には法人経営が多く(29地区中14地区)、経営の多角化や従業員の雇用維持(冬期の収入確保)のために水田汎用化技術としてFOEASを導入しており、そうした法人経営にとっては、農業水利施設の維持管理の省力化(パイプライン整備による畦畔草刈りの軽労化など)が経営の持続的発展のための必要条件になっている。このため「FOEASが有効に機能するために地域で解決すべき課題」として「農業水利施設の良好な維持管理」の重要度に高い点が与えられたと考える。
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成果の活用面・留意点 |
- FOEAS普及のための啓蒙資料として活用できる。
- 2010年時点のFOEAS導入地区は、水田汎用化に比較的積極的な地区と見られる。このためFOEASを有効に活用しているし、FOEASに対する評価も高い。今後、暗渠の代替えなどでFOEASの導入が進むと、FOEASの意義・特徴が充分理解されないまま整備される地区が出てくる可能性があり、そういった地区ではFOEASが有効に利用されず、高い評価も得られなくなることが懸念される。今後、FOEASの意義・特徴に関する啓蒙(技術面だけではなく、その技術に基づく営農システム、資源管理システムも)が益々重要となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2012/420b0_03_06.html
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カテゴリ |
FOEAS
管理システム
経営管理
軽労化
省力化
水田
水管理
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