高解像度衛星データを用いた水田の土地被覆の判別手法

タイトル 高解像度衛星データを用いた水田の土地被覆の判別手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2011~2012
研究担当者 福本昌人
吉迫 宏
発行年度 2012
要約 高解像度衛星データと水田区画データ(水土里情報)を用いて、画像分類と目視判読を組み合わせて水田の土地被覆(稲、雑草等)を判別する手法である。目視判読だけでは判別が困難な場合でも水田の土地被覆を高精度に判別することができる。
キーワード リモートセンシング、高解像度衛星、土地被覆、画像分類、目視判読
背景・ねらい 農地利用状況や作付状況に関する一筆単位の現地調査は、多大な労力を要する。その省力化を図る方法として衛星データの利用があげられる。衛星データの解析には画像分類が用いられることが多いが、高解像度の衛星データの場合には目視判読も適用でき、観測時期によっては、画像を目視するだけで水田の土地被覆(稲、雑草等)をある程度判別することができる。しかし、そのような目視判読のみで判別可能な高解像度衛星データが調査時に入手できるとは限らない。そこで、目視判読のみでは判別が困難な場合でも水田の土地被覆を高精度に判別できる手法として、画像分類と目視判読を組み合わせた判別手法を提案する。
成果の内容・特徴
  1. 判別手法は3つのステップからなる(図1)。まず土地被覆に基づいて分類クラスを設定し、教師付き分類法(最尤法)で画像分類を行う。次に、その出力画像に水田区画データ(水土里情報)を重ねて区画内で画素数が最多のクラスを抽出し、分類結果を区画毎に集約する(1次判別)。最後に、衛星画像等の目視判読によりその1次判別結果のチェックと修正を行う(2次判別)。ここで、目視判読で1次判別結果の正誤の判断がつかない場合には1次判別結果を採用する。
  2. 茨城県稲敷市のあるエリアでは、夏季に観測された高解像度衛星データの場合、目視判読で雑草の区画と区別することが困難な稲の区画(生育ムラが大きい稲の区画や雑草混じりの稲の区画)が比較的多く、目視判読だけで土地被覆を判別するのは難しい。しかし、本手法を適用すると、7月21日のWorldView-2衛星データ(解像度0.5mのパンシャープン画像、図2)を用いた場合、99.3%の精度で土地被覆を判別できる(表1)。
  3. その判別事例の場合、1次判別の段階で誤判別されていた区画のうち、2次判別の段階で正しく判別された区画は、雑草混じりの稲の区画(雑草と誤判別されていたが、雑草が発生していない部分の画像の色調から稲と判断)、イネ科の雑草が繁茂していた雑草の区画(稲と誤判別されていたが、画像の色調とざらつき具合から雑草と判断)等である。
  4. なお、WorldView-2衛星データは8バンドのデータであるが、QuickBird衛星等と同じ4バンド(青、緑、赤、近赤外)のデータしか用いずに判別を行ってみても99.0%の精度で判別ができたことから(1次判別の段階での精度は、8バンドの場合が98.6%、4バンドの場合が95.9%)、4バンドの高解像度衛星データを用いても高精度に判別できる。
成果の活用面・留意点
  1. 農地利用状況や作付状況の現地調査の省力化を図るために衛星データと水土里情報を統合利用する際に活用できる。
  2. 耕作放棄田以外に、自己保全管理田や秋麦収穫後で夏季に作付けをしていない水田等でも雑草が繁茂していることがある。そのため耕作放棄田か否かは現地確認を行わなければ判断できないが、現地確認を要する区画(雑草地)の絞り込み(スクリーニング)に活用できる。
図表1 236132-1.png
図表2 236132-2.png
図表3 236132-3.png
図表4 236132-4.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2012/420c0_03_12.html
カテゴリ 病害虫 雑草 省力化 水田 リモートセンシング

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