タイトル |
農道の表土を砕土して除染作業が効率的に行える農道表層剥ぎ取り機 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2011~2012 |
研究担当者 |
深山大介
宮崎昌宏
八谷 満
市来秀之
青木 循
高橋正光
落合良治
小竹一男
福田喜孝
野呂茂生
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発行年度 |
2012 |
要約 |
未舗装農道の汚染土壌を効率的に取り除くため、表土を5cm程度砕土する除染用機械である。75kW以上のトラクタで駆動される。100㎡あたり作業時間は約12分、表土搬出後は空間線量率の低減が可能である。
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キーワード |
除染、農道、表土、ストーンクラッシャ、削り取り
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背景・ねらい |
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、農地および周辺農道に降下堆積した放射性物質を除去・低減する除染技術の確立が求められている。未舗装農道の汚染表土を除去する場合、排土量はできる限り少なくする必要があるが、礫が多く固く締まった凹凸のある表土を薄く除去することは難しい。そこで、農道の汚染された表土を効率的に取り除き易くするために、表土を均平に砕土する農道表層剥ぎ取り機を開発し、除染効果と作業性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 農道表層剥ぎ取り機は、未舗装農道の汚染土壌を効率的に取り除くため、表土を5cm程度砕土する除染用機械である。本機による農道表土の砕土の後、フロントローダで集土・搬出する。作業後の農道は均平になり、農道の機能を損なわない(図1)。
- 本機は、ストーンクラッシャを改良したものであり、トラクタに最大260mmオフセット装着できるため、農道路肩部まで効率的に処理できる。また、本機のロータの粉砕歯は、最大径30cmの石を3cm程度にまで粉砕できる。表土の剥ぎ取り深さは、トップリンクの長さと本機のソリの角度によって調節する。作業幅は1.76m、作業速度は0.1~0.2m/sである(表1)。本機を装着するトラクタは、安定した駆動力と作業性を必要とするため、75kW以上の機関出力が必要である。
- 農道表層剥ぎ取り作業による除染効果は、福島県内の除染特別地域で行った試験では、地表1cmコリメート法による空間線量率を70~85%低減する(表2)。
- 作業能率は、農道表層の砕土作業に100㎡あたり約12分要する。また、砕土した表土をフロントローダで集めてトラックへ積み込むまでの全作業を含めた作業時間は100㎡当たり約1.2時間である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:除染事業を請け負う業者や自治体への普及を対象とする。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:除染特別地域内の除染対象農地に付随する未舗装農道。
- その他:安全に営農を再開するためには、農地だけでなく農地周辺の空間線量率を下げることも重要になる。農道表面が乾いているときは、事前に散水し、粉塵の飛散を低減することが望ましい。作業中は、機体前方・後方への石の飛散に注意する必要がある。また、路肩から法面にかけて傾斜のある農道では、別途開発した法面表土削り取り機との併用が有効である。また、プラウを用いた反転耕による除染作業後に表層に出てきた石礫の粉砕にも利用できる。2013年3月に市販化予定。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2012/600b0_03_80.html
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カテゴリ |
市販化
除染技術
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