タイトル | 酸素充填解凍技術の開発:凍結まぐろの肉質改善効果 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 中央水産研究所 |
研究期間 | 2012~2013 |
研究担当者 |
今村伸太朗 鈴木道子 大村裕治 金庭正樹 |
発行年度 | 2013 |
要約 | 凍結まぐろを酸素ガス置換包装し解凍したところ、空気、窒素および二酸化炭素ガス置換包装と比較し、色調の改善、メトミオグロビン生成率の低下、テクスチャーの向上、ドリップ流出量の低減等の効果が見られた。この効果は、解凍後、少なくとも4℃で3日間持続した。 |
背景・ねらい | 凍結まぐろ肉は漁獲された時の高鮮度の状態を維持するため、超低温で長期間保存されるが、解凍後に褐変、ドリップ流出、肉質軟化等による品質劣化が急速に進行する。そのため、量販店や小売店で発生した商品価値の低い解凍肉が大量に廃棄されることから、凍結まぐろ肉を利用する上で、解凍後でも高品質な状態を維持するための冷凍貯蔵技術の開発が必要である。 水産物のガス置換貯蔵は、低温貯蔵と併用することにより主に細菌の増殖抑制、脂質酸化の抑制、肉色の保持を目的に多くの検討が行われ、加工品ではシェルフライフの延長に効果があることが示されているが、凍結まぐろ肉の品質保持を目的としたガス置換包装はほとんど使用されていない(聞き取り調査)。本課題では、凍結まぐろの解凍後の品質向上を目的とし、酸素ガス置換包装(酸素充填解凍技術)の有効性および品質改善のメカニズムを調べた。 |
成果の内容・特徴 | 酸素、窒素および二酸化炭素ガス置換包装されたまぐろ肉の色調を比較すると、酸素ガスが最も良好であった。一方、窒素および二酸化炭素ガスでは解凍後6時間から急激に褐変が生じた。ミオグロビンのメト化率は酸素ガス置換包装では3日後まで約20%以下であり、メト化が十分抑制された。一方、窒素および二酸化炭素ガス置換包装では約80%に達した。酸素ガス置換包装では解凍後の筋肉組織構造の復元が良好であったのが、窒素および二酸化炭素ガス置換包装では凍結状態の組織像と同様にスポンジ化が生じた。酸素ガス置換包装は従来の解凍法と比べて、褐変の抑制による色調の改善だけでなく、テクスチャーの向上やドリップ量の減少など、高品質な肉質を維持する効果があった。酸素ガス置換では、解凍後の活性酸素種が低かった。このことから、従来法の低酸素の貯蔵解凍条件では酸化が促進されることがわかった。 |
成果の活用面・留意点 | 本技術を用いることによって、冷凍まぐろの小売段階での廃棄率の低減が期待される。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4653&YEAR=2013 |
カテゴリ | 加工 品質保持 保存・貯蔵 |