インド型イネ品種の籾収量を増加させる遺伝子、SPIKEの発見

タイトル インド型イネ品種の籾収量を増加させる遺伝子、SPIKEの発見
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2005~2013
研究担当者 小林伸哉
藤田大輔
A. G. Tagle
小出陽平
佐々木和浩
R. B. Gannaban
福田善通
石丸 努
発行年度 2013
要約 インドネシアの熱帯日本型在来品種に由来し、単離に成功した第4染色体上の遺伝子SPIKEは、インド型品種IR64やIRRI146の遺伝的背景で一穂籾数を増加させるばかりでなく、止葉幅、穂首の維管束数、玄米外観品質などの形態的改善を伴い、籾収量を増加させる。
キーワード イネ、育種素材、遺伝子単離、籾収量
背景・ねらい 広く熱帯地域で普及しているインド型品種IR64の収量性のさらなる遺伝的改良を通して、開発途上地域における食料安定生産を図る。IR64の遺伝的背景において一穂籾数を増加させるインドネシアの熱帯日本型在来品種由来の第4染色体上の量的遺伝子座、qTSN4国際農林水産業研究成果情報 第20号)の詳細な遺伝解析により、原因遺伝子を特定する。
成果の内容・特徴
  1. インドネシアの熱帯日本型在来品種Daringanに由来し、一穂籾数増加に関与する量的遺伝子座qTSN4を含むゲノム領域内(18 kbp)にある候補遺伝子の一つSPIKEは、一穂籾数および止葉幅を増加させる(図1)。
  2. IR64に、交配育種によりSPIKEを導入した準同質遺伝子系統(NIL)では、一穂籾数、止葉幅の他、穂首の維管束数(図2A)や根重(図2B)が増加し、圃場試験でも収量が13-36%増加する(図2C)。
  3. SPIKEを導入した準同質遺伝子系統(NIL)では白未熟粒の発生が軽減する(図2D)。
  4. インド型品種IRRI146にSPIKEを導入しても、IR64と同様に、一穂籾数や止葉幅の増加が確認でき、収量が有意に増加する(データ省略)。
  5. DNAマーカーを用いた交配育種により、SPIKEを東南アジアや南アジアのインド型品種PSBRc18, TDK1, Ciherang, Swarna, BR11に導入すると、いずれの系統でも一穂籾数が増加する(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. 今回発見された熱帯日本型在来品種由来のSPIKEは、様々なインド型品種の遺伝的背景で収量を向上させる可能性がある。
  2. SPIKEは、選抜DNAマーカーを用い、交配育種により既存品種に効率的に導入することができる。
  3. SPIKEが温帯日本型品種や他のインド型品種など異なる遺伝的背景でどのような効果を示すかについて、さらなる調査が必要である。
  4. IR64とIRRI146を背景とするSPIKEの準同質遺伝系統の種子分譲については、JIRCAS企画調整部情報広報室に問い合わせる。
図表1 236333-1.jpg
図表2 236333-2.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2013/2013_A03.html
カテゴリ 育種 DNAマーカー 品種

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