タイトル |
中山間地域における大規模水田作経営の課題と放牧導入効果の試算 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2011~2013 |
研究担当者 |
千田雅之
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発行年度 |
2013 |
要約 |
中山間地域の経営面積30haを超す水田作経営では、水稲作中心の規模拡大に伴い、長期にわたる長時間労働と畦畔等の管理作業が負担となっている。畜産経営と連携した放牧導入により、労働時間を増やすことなく、大面積の耕作と所得増加が可能となる。
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キーワード |
中山間、家族経営、水田作、放牧
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背景・ねらい |
地域農業構造変化が進展する中で、中山間地域における家族経営による大規模水田作経営の課題を、農作業日誌及び部門別・品種別の収益分析を通じて、作業技術面及び収益面から明らかにする。また、放牧導入による規模拡大の可能性等を営農シミュレーションを通じて検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 事例農場は、親子2世代による家族経営で、稲作を中心に約34haの農業を営む(表1)。近年、農地受託が増加し、経営面積は10年間で約1.5倍に拡大している。圃場は自宅から1.5kmの範囲にあるが、圃場枚数は169筆、1筆平均約20a であり、管理の必要な畦畔や法面の面積が広い。
- 事例農場では、受託面積の拡大に対して、単収や単価の高くない早晩生品種の導入により水稲作期の拡大を図る一方、転作は加工米や獣害を受けやすい大麦で対応している。この結果、収益性の低い部門・品種を経営に付加することになっている(表2)。
- 水稲作期の拡大により、労働ピークの長期化(図1)、除草剤散布時期の遅れによる収量低下、用水不足よる品質の低下、一斉防除時期とあわない品種への個別防除作業等が生じている。また、水稲の水管理・畦畔管理作業等に10a 当たり5.3時間(農業経営統計調査「平成23年米及び麦類の生産費」において作付面積15ha以上の規模階層では平均2.7 時間)を費やしており、家族労働による規模拡大のネックとなっている。
- 事例農場の営農技術係数をもとに、現行労働力で所得最大となる営農をXLPを用いて試算した結果、収益性の低い早晩生水稲品種の導入による作期拡大と加工米や大麦による転作対応(B)では現行の約33ha が限界であり、収益性の高いコシヒカリの作付可能な規模(A)以上に経営面積を拡大しても所得はほとんど変わらず労働時間は増す(表3)。
- 農地管理面積を現行水準として、農地の省力管理の可能な放牧導入による経営改善効果を試算した結果(C)、放牧を導入しない(B)と比べて、労働時間は約400時間減少し、所得は約400万円増加する。管理面積の制約を設けない場合(D)、現行と同等の労働時間で、面積で13ha、所得で700万円の増加が可能となる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 中山間地域の水田作営農の一方向として、行政、普及指導者の活用が期待される。
- 経営改善効果のシミュレーションは、経営所得安定対策による交付金を現行水準とし、放牧導入による畜産経営からの牛管理料の受給や畜産農家への牛借料の支払はないものとした試算値である。
- 水田の放牧管理は、暖地型永年生牧草を導入して5月から10月の間、定置放牧を行い、転牧や牧柵の移設は行わない。水田作経営側の放牧管理労働は、牧柵の移設、牛の観察、給水等で3時間/10a とした試算値である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2013/narc13_s14.html
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カテゴリ |
病害虫
大麦
加工
規模拡大
経営管理
畦畔管理
除草剤
水田
中山間地域
品種
防除
水管理
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