タイトル |
施設園芸における新規就農者向けの経営管理チェックシート |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2010~2013 |
研究担当者 |
澤田守
米倉茜
草野謙三
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発行年度 |
2013 |
要約 |
新規就農者が営農上の課題を把握できる経営管理チェックシートである。チェックシートは、問題の要因や経営管理サイクルの区分に従った設問で構成され、栽培管理、作業管理、販売管理、財務管理の分野において管理の達成度を具体的に把握できる。
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キーワード |
新規就農者、経営管理、チェックシート、営農診断、達成度評価
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背景・ねらい |
農業労働力の減少に歯止めをかけるために、近年、新規就農者の支援制度が整備されている。その一方で、青年就農給付金制度(開始型)では5年間の給付期間中に経営定着を図ることが求められるなど、就農後の経営成長を促すための支援が重要になっている。新規就農者の場合は、技術水準、経営者能力が様々であり、個々の能力や技術の習得状況に合わせた支援が必要とされる。そのため、新規就農者自身が営農状況を評価することで、現状の達成度を把握できるチェックシートを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発した経営管理チェックシートは、施設園芸作の新規就農者を対象にしており、栽培管理、作業管理、販売管理、財務管理の4つの分野に分かれている。栽培管理については、土づくりなど9つの小項目に分類され、合計60の設問で構成されている(図1)。
- チェックシートでは、栽培、販売、財務管理の各項目について、問題の要因を知識・判断・実行レベルに3区分して設問を設けており、各区分において就農者が4段階で評価するように設計している(図1)。また、作業管理の分野に関しては、経営管理サイクルにあわせて計画、実行、改善の3つに区分し、現状の作業管理の達成度を数値として把握することができる。
- 施設園芸作で参入した新規就農者2名(A、B)が、チェックシートに記入した結果をみると(表1)、収量、及び収量の満足度が低いBにおいては、全般的に達成度が低い。特に栽培管理についてみると(図2)、Bの場合、生理障害対策、本圃管理などの数値が低くなっている。現状の達成度をみるために、本圃管理について、知識、判断、実行レベルの区分でみると、判断、実行の数値が低く、知識はあるが、営農時の判断と実行の段階で課題が生じていることがわかる。
- 作業管理について、計画、実行、改善別の平均値をみると(表2)、Bの場合、実行、改善の値が2.0と低い。そのため、実際の営農場面での作業管理について、作業日誌の記録、作業環境の整備などから取り組み、作業改善につなげることが求められる。このように、チェックシートを用いて、問題の要因別、経営管理サイクルごとに数値化することで、就農者自身の改善点が明確になるとともに、就農者の状況把握が容易になり、関係機関による就農後のフォローアップにつなげることができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 新規就農者による経営状況の把握、及び地方自治体、普及センター等における新規就農者の指導場面などで活用できる。
- チェックシートの栽培管理項目は、施設園芸作(土耕トマト、キュウリ)を対象としている。他の管理項目については異なる作目でも適用できる。
- 作成したチェックシートはWeb上で公開している。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2013/narc13_s17.html
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カテゴリ |
土づくり
きゅうり
経営管理
栽培技術
作業管理
施設園芸
生理障害
トマト
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