pH(KCl)から交換酸度y1を高精度に推定できる

タイトル pH(KCl)から交換酸度y1を高精度に推定できる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2012~2013
研究担当者 久保寺秀夫
森清文
草場敬
島武男
発行年度 2013
要約 土壌管理や土壌分類で重要な指標となる交換酸度y1は、測定が容易なpH(KCl)の値から高精度に推定できる。
キーワード 交換酸度y1、pH(KCl)、推定、酸性土壌、土壌管理、土壌分類
背景・ねらい 交換酸度y1は交換性アルミニウムを主体とする土壌中の酸性物質の量を示す。y1は作物根の伸長阻害やバレイショそうか病抑止効果に関係する土壌酸度の指標としてpHより優れており、また黒ボク土におけるアロフェン質と非アロフェン質の区分に使用されるなど、土壌管理や土壌分類の上で重要な指標値である。y1の測定に高度な分析装置や特殊な試薬は不要だが、ろ過や煮沸、滴定などの実験操作がやや煩雑であり(図1)、また劇物の水酸化ナトリウムを分析に使用するため現場の農業指導機関や農家自身による測定は難しい。そこで、pH(KCl)(y1と同じ溶液(1mol L-1塩化カリウム)と固液比(1:2.5)による懸濁液のpHを、ろ過などの処理をせずpHメータで測定)の値からy1を推定する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 阿蘇久住地域の黒ボク土128点(うち71点が非アロフェン質、57点がアロフェン質)、種子島の土壌31点(うち29点がアロフェン質黒ボク土、2点が非黒ボク土)、沖縄本島中央部の宜野座村の赤黄色土(現地名国頭マージ)30点の計189点の土壌でpH(H2O)とy1の関係を見ると、負の関係は認められるがばらつきが大きく、pH(H2O)からy1を推定することはできない(図2)。
  2. pH(KCl)とy1の間には極めて密接な負の関係が見られる(図3)。この関係は供試土壌の中では地域や土壌タイプに関係なく同一で、y = 14664768x-10.59 (R² = 0.899)の近似式が得られる(y: y1,x: pH(KCl).n=189)。
  3. 土壌酸性矯正の目安としてy1≦3を目標とした管理を行う場合、pH(KCl)4.3の土壌はそれぞれy1≧3、y1≦3をほぼ満たしている(図4)ため、pH(KCl) >4.3の場合は酸性矯正の必要なし、pH(KCl)
  4. 日本の統一的土壌分類第二次案による非アロフェン質黒ぼく層の識別のためにy1≧6であるかを判定する場合は、pH(KCl)が4.0~4.1ならy1を実測する必要があるが、pH(KCl)4.1の黒ボク土の試料はそれぞれy1≧6,y11が基準値の上下いずれにあるかはpH(KCl)から推定でき、pH(KCl)が境界範囲(幅0.1)以外であればy1の実測は不要である。
成果の活用面・留意点
  1. y1を用いた土壌管理や土壌分類を行う上で、分析の簡易化や普及員、農家による直接の測定が可能になる。
  2. 他の地域や土壌タイプではpH(KCl)とy1の関係が異なる可能性があるため、今後のデータ集積が必要である
  3. pH(KCl)、y1とも風乾細土を供試して得た結果である。
図表1 236442-1.jpg
図表2 236442-2.jpg
図表3 236442-3.jpg
図表4 236442-4.jpg
図表5 236442-5.jpg
図表6 236442-6.jpg
図表7 236442-7.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2013/narc13_s20.html
カテゴリ 肥料 データ集積 ばれいしょ

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