ニホンナシ子葉へのアグロバクテリウム感染には超音波処理が有効である

タイトル ニホンナシ子葉へのアグロバクテリウム感染には超音波処理が有効である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 中島育子
佐藤義彦
齋藤寿広
森口卓哉
山本俊哉
発行年度 2013
要約 ニホンナシ子葉へのアグロバクテリウム感染時に超音波処理を行うと、感染効率が上昇し、効率には品種間差がある。
キーワード ニホンナシ、子葉、形質転換、超音波処理、アグロバクテリウム
背景・ねらい ニホンナシの栽培では、近年温暖化により黒星病や果実の障害などが発生し問題となっている。黒星病をはじめ、果実の商品価値を著しく下げるみつ症、日持ち性の悪さ、果面のさびについては、関連すると考えられる候補遺伝子群の解析が進みつつあり、単離された候補遺伝子のさらなる機能解析や画期的な新品種の作出のために、効率の良い組織培養系の確立と形質転換技術の開発が望まれている。しかし、ニホンナシではこれまで形質転換系が開発されていない。 そこで形質転換系開発の第一歩として、外植片とする子葉にアグロバクテリウムを効率よく感染させるために、用いる品種、植物側の防御反応を物理的に回避する超音波処理、および化学的に阻害する細胞外カルシウムイオンキレート剤(EGTA)を検討する。
成果の内容・特徴
  1. ニホンナシである「伯帝竜」、「幸水」、「安下庄支那梨」、「なつしずく」およびセイヨウナシとの雑種である「二宮」の子葉に35Sプロモーターで制御したオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するGFP遺伝子をアグロバクテリウム法により導入する。超音波処理はアグロバクテリウム感染時に行い、EGTAは共存培地に10mMの濃度で含ませて共存培養期間のみ処理を行う。感染から2週間後の「伯帝竜」および「幸水」の子葉でトランジェントにGFP蛍光を示す子葉数について、3要因(超音波処理、EGTA処理、品種)のロジスティック回帰分析を行うと、品種間差および超音波処理が有意であり、EGTA処理では効果が認められない(表1)。
  2. EGTA処理を行った5品種の子葉のGFP蛍光を示す子葉数について、2要因(超音波処理、品種)のロジスティック回帰分析を行うと、事後検定の結果、品種間差および超音波処理が有意であり、最もアグロバクテリウムの感染しやすい品種は「安下庄支那梨」で、最も感染しにくい品種は「幸水」である(データ省略)。
  3. 以上により、図1に ニホンナシ子葉由来の形質転換体作出の方法と感染から5ヶ月後に1個体得られているGFP蛍光を示す「安下庄支那梨」子葉由来の形質転換個体を示す。
成果の活用面・留意点
  1. ニホンナシ子葉へのアグロバクテリウム感染は超音波処理で効率化できるが、形質転換の効率化のためには、感染効率の高い品種を用いると共に感染部分からの再分化についての検討が必要である。
図表1 236488-1.jpg
図表2 236488-2.jpg
図表3 236488-3.jpg
図表4 236488-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2013/fruit13_s15.html
カテゴリ 黒星病 新品種 品種

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