豚丹毒菌の新規ワクチン候補抗原CbpBの同定

タイトル 豚丹毒菌の新規ワクチン候補抗原CbpBの同定
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2012~2013
研究担当者 下地善弘
小川洋介
施 芳
江口正浩
白岩和真
発行年度 2013
要約 豚丹毒菌の分泌及び表層蛋白質をプロテオームおよびゲノム比較により系統的に解析する。同定した蛋白質のうち、コリン結合蛋白質B(CbpB)はマウス及び豚で感染防御を誘導することから、新たな豚丹毒のワクチンとして利用できる。
キーワード 豚丹毒菌、分泌蛋白質、表層蛋白質、防御抗原、ワクチン
背景・ねらい 畜産経営の大規模化や多頭化飼育に伴い、混合ワクチンや成分(サブユニット)ワクチンなどの省力型ワクチンの開発が求められている。これらのワクチン開発において、副作用を減少させ、また、効力を高めるためには、感染防御抗原のみを使用することが望ましいが、病原体の感染防御抗原を同定することは容易ではない。
豚丹毒は、グラム陽性の豚丹毒菌の感染によって起こる豚の全身性感染症であり、敗血症や皮膚炎、関節炎、心内膜炎など様々な病態を示す。本病は世界中で発生が認められ、養豚業においてワクチン接種が必須とされる感染症の一つである。本研究では、省力型ワクチンに利用できる新規防御抗原を探索するため、豚丹毒菌の分泌及び菌体表層蛋白質の系統的解析を行った。
成果の内容・特徴
  1. プロテオーム解析には、高分子の培地成分を除去したブレイン・ハート・インフュージョン(BHI)を基礎にした液体培地で培養した豚丹毒菌Fujisawa株の濃縮培養上清を用いる。二次元ゲル電気泳動法により、豚丹毒菌に由来する40個以上の蛋白スポットが確認される。
  2. 主要な蛋白スポットについてN末端アミノ酸配列の解析を行い、培養上清中に分泌される蛋白質が同定される。
  3. ゲノム比較解析では、Fujisawa株(血清型1a型)とATCC19414株(血清型2型)のゲノム配列を比較する。臨床野外分離株に多い血清型1a型及び2型の両方に共通して保存される表層蛋白質(莢膜のフォスフォリルコリン残基に結合能を有するコリン結合蛋白質(Cbp))が同定できる(図1)。
  4. 上記のプロテオーム及びゲノム比較解析において同定された分泌及び表層蛋白質について、主要な分泌蛋白質7種及びコリン結合蛋白質3種の合計10種類の蛋白質を大腸菌を用いてリコンビナント蛋白質を作製する。
  5. マウス及び豚を用いてリコンビナント蛋白質による豚丹毒の防御試験を行うと、CbpBが防御効果を持つことが明らかにされる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. CbpBは混合ワクチンやサブユニットワクチンの抗原としての利用が期待できる。
  2. グラム陽性菌の防御抗原の同定には分泌蛋白質や菌体表層蛋白質の解析が必須である。プロテオームおよびゲノム解析の併用は、他のグラム陽性細菌の分泌蛋白や表層蛋白として発現している未知の病原因子を探索する手法として利用できる。
図表1 236583-1.jpg
図表2 236583-2.jpg
図表3 236583-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2013/niah13_s19.html
カテゴリ 経営管理 大規模化

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