表面被覆水路の摩耗進行の定量的モニタリング調査手法

タイトル 表面被覆水路の摩耗進行の定量的モニタリング調査手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 中嶋勇
渡嘉敷勝
森充広
西原正彦
堀俊和
発行年度 2013
要約 無機系表面被覆工の摩耗進行を定量かつ簡易に測定する。レーザ距離測定により摩耗深さを±0.1mm精度にて測定できる。測定時間は1測点当たり約3分と迅速である。全国に設置が進む試験水路での継続的な摩耗モニタリング調査に活用できる。
キーワード 農業用水路、無機系表面被覆工法、摩耗、レーザ測定、平均摩耗深さ
背景・ねらい 無機系表面被覆工(以下被覆工と呼ぶ)は、農業用開水路の補修の60%以上を占める主要工法である。被覆工の耐摩耗性に関しては、平成25年10月に制定された「農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル」の中で品質規格値が示されているが、規格値は促進劣化試験結果に基づき決められた値であり、現場実態に即した値であるか、今後モニタリング調査による検証が必要とされている。行政部局では、マニュアルの内容が現場実態に即したものか検証するために、全国の試験水路にて継続的なモニタリング調査を開始したが、被覆工の摩耗進行を定量的に測定可能な手法は確立されておらず、その開発が急務とされている。本研究では、全国の試験水路での摩耗進行データの収集を可能とする新たな測定手法の開発を目指す。
成果の内容・特徴
  1. 摩耗測定システム概要を図1に示す。測定システムは、レーザ距離計、データロガ・電源、解析用ノートパソコンから構成される。測定は2人一組で行う。測定時間は1測点当たり約3分であり、効率的な測定が可能である。
  2. 測定を行う前に、被覆面にあらかじめ図1に示す測定値の高さ補正を行うための2本の標点(ステンレスアンカー、φ10mm程度)を埋めこむ必要がある。
  3. 測定手順を図2に示す。測定毎に同一測線上をレーザスキャンする必要がある。そのため、図2(a)に示す位置決め治具により距離計を毎回同じ場所に設置する。距離計のスタートボタンを押すと、レーザ測定ヘッドが自動的に走行し、0.1mm間隔で被覆面までの距離を測定する(図2(b))。得られた距離データを標点中央50mmの区間で積分し、被覆工に発生した平均摩耗深さを求める(図2(c))。
  4. 高さ方向の据付誤差は標点により補正されるが、水平方向のズレは補正できない。そこで、測定毎にレーザ走査線が標点の中央を通過するか目視確認し、ズレが生じた場合はその回の測定データを棄却し再測定を行うことで測定精度が改善される。
  5. 測定システムの精度実証結果を以下に示す。図3に示す被覆水路側壁の7測点を対象に日時の異なる3回の測定を行い、得られた測定値に対して繰返しのある一元分散分析を実施し、1回の摩耗測定に対する測定精度を求めたところ、測定精度は測定値±0.1mmであった。また、被覆初年度(通水は半年間)における7測点の全体平均摩耗深さは0.32mm、その95%信頼区間は0.20~0.44mmであった(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 高度化事業により関東農政局利根川水系土地改良管理事務所が施工した被覆工試験区間(栃木県真岡市)にて2012年3月からモニタリングを約2年間継続中である。
  2. ステンレスアンカーは表面被覆施工前に埋め込む。表面被覆後の被覆面からの突出高さが5mm程度になるように、被覆厚を計算してアンカーの設置高さを調整する。
図表1 236609-1.jpg
図表2 236609-2.jpg
図表3 236609-3.jpg
図表4 236609-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2013/nkk13_s09.html
カテゴリ 水管理 モニタリング

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