タイトル |
簡易設置型パッドアンドファンによるハウス内暑熱環境改善 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2010~2013 |
研究担当者 |
長﨑裕司
村上健二
嶋津光鑑
坂井田洋司
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発行年度 |
2013 |
要約 |
本装置は、ハウス側面に組み込むなどして、水で湿らせたパッドに送風することで得られた加湿冷却空気をハウス内に効率的に導入できる低コストな簡易冷房装置である。5mの距離まで冷却空気が到達し、作業者の身体負担軽減にも有効である。
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キーワード |
加湿冷却、施設園芸、パッドユニット、側窓組込、温熱環境
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背景・ねらい |
近年の施設野菜生産では、難防除病害虫対策としてハウスの開放部に1mmよりも目合いの細かい防虫ネットを組み込む場合が多い。そのため、高温期のハウス内温度は容易に40°C近くまでなることから、暑熱対策技術の導入が従前以上に必要とされてきている。そこで、気化冷却を利用したパッドアンドファンについて、従来の新設ハウスへの導入を前提とした大型のものではなく、既存の自然換気での管理を行っている中小規模ハウスに後付けで導入でき、植物体を濡らさない小型低コスト装置を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本装置は、上部から給水して湿らせるセルロースパッド(露出面積0.4m2)を前面に配置した幅約1.2m、高さ0.4mのユニットであり、その後方からハウス内に送風して加湿冷却空気を供給する(図1)。1ユニットで床面積20m2相当の冷却に使用できる。
- ダクトを介して複数ユニットに送風する場合には、圧力損失の小さいダクトファンを用いる。図1の11ユニット接続でも0.2~0.4m/sの吹出風速が得られる。圧力損失の比較的大きい有圧換気扇を用いる場合は、3ユニット接続では吹出風速の低下が大きく0.1m/sを下回ることから、ファン1台あたり2ユニットまでの接続とする(図2)。
- パッドが乾くと冷却効率が落ちることから、タイマ(時間)またはサーモ(温度)で制御されたポンプにより給水し、日中にパッドの表面が乾かないようにする。この水を循環利用した場合、1ユニットでの水使用量は高温期の晴天日で約20L/日である。
- ハウス側面にユニットを組み込んだ図1の事例では、パッド吹出位置で外気温-4°C、飽差2.5hPaの加湿冷却空気を供給できる。これらが、パッド位置から6.5m離れた位置では外気とほぼ同条件になることから、トマト栽培条件で群落を通しての加湿冷却空気の供給可能距離は約5mとみられる(図3)。
- 送風ファンも組み込んだ一体型装置(図4)では、作物や作業者の近傍で加湿冷却空気を供給でき、身体負担軽減効果が効果的に得られる。パッドを湿らせない送風のみでは効果が劣る傾向がある。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は、比較的小規模なハウス(5a規模まで)での導入に適している。
- パッドユニットはメーカーが特注販売に対応(10台以上)しており、1ユニットあたりのコストは約5万円である。図4の一体型装置は約7万円である。
- 図2での送風ファンは、ダクトファンはS社DF-40ESD1(出力400W)、有圧換気扇はP社FY-40GSV3(同200W)を用いた成果である。給水は図1の11ユニット接続でも最大吐出量14L/分、最大揚程2.9mの能力の水中ポンプ1台で対応できる。
- 本装置のパッドユニットには、市販の大型装置と同じセルロースパッドを使用している。
- 図3、4は夏秋トマト栽培(低段密植、群落高さは約2m、ベッド間約1.7m)ハウスでのデータによる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2013/warc13_s11.html
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カテゴリ |
病害虫
コスト
栽培条件
施設園芸
低コスト
トマト
病害虫防除
防除
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