ホルスタイン種体内成熟卵子と性選別精子による効率的な雌体外受精胚生産法

タイトル ホルスタイン種体内成熟卵子と性選別精子による効率的な雌体外受精胚生産法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2010~2012
研究担当者 的場理子
今井 敬
稲葉泰志
吉岡 一
松田秀雄
橋谷田豊
中川邦明
瀬田剛史
ソムファイタマス
下司雅也
発行年度 2013
要約 ホルスタイン種の多排卵誘起処置後に採取する体内成熟卵子と雌選別精子を用いた体外受精により、効率的な胚生産が可能となり、特に緩慢凍結可能な高品質胚の生産数が大幅に向上する。
キーワード ウシ、体内成熟卵子、性選別精子、体外受精胚、多排卵処置
背景・ねらい 牛性選別精子の利用は、生産される産子の性を約90%の確率で制御できる技術として期待されている。しかし、多排卵処置ホルスタイン種経産牛に性選別精子を人工授精した場合、胚の採取効率(平均生産雌胚1.1個/頭/回)はきわめて低い。一方、生体から卵子を採取する生体内卵子吸引(OPU)技術が開発され、経産牛からも性判別胚を効率に得ることができると考えられる。さらに、体内成熟卵子を採取できれば、より高品質な雌胚の生産が可能となる。そこで、多排卵処置を実施し、排卵直前の体内成熟卵子採取および体外受精のタイミングを決定し、体内成熟卵子を性選別精子と体外受精を実施し、実用性に秀でた新しい牛性判別胚の生産システムの確立を目標とする。
成果の内容・特徴
  1. ホルスタイン種経産牛に対し、発情周期の任意の時期にCIDRを腟内に挿入し、主席卵胞を除去したのちFSHを漸減投与(6、6、4、4、3、3、2および2AU、計30AU)し、0.225mgのPGF2α(d-クロプロステノールを)投与してCIDRを除去し、卵胞が発育成熟する過程で200μg のGnRH(酢酸フェリチレリン)を投与して排卵誘起を実施する(図8)
  2. この処置では、発情予定日のGnRH投与後26~38時間に98.6%の発育卵胞が排卵し、GnRH投与後約30時間に排卵がピークとなることから、OPUは排卵直前であるGnRH投与後25~26時間とする。
  3. 上記の方法で採取した卵子の多くはGnRH投与後30時間で成熟していたことから、体外受精を30時間とする。
  4. これらの体内成熟卵子を雌選別精子と体外受精することにより、多排卵処置を実施せず発情周期の任意の時期に採取した未成熟卵子を22~23時間の体外成熟後に体外受精した場合に比べ、約2倍の移植可能な雌胚(7.1個)を生産し、約3倍の凍結可能な高品質な雌胚(4.1個)を生産することが可能であり(図2)、生産胚の92.1%が雌胚である。
  5. 採取した際、卵子が未成熟であった場合でも、22~23時間の体外成熟後に体外受精を実施することにより、さらに生産雌胚が増加する。
成果の活用面・留意点
  1. ホルスタイン種経産牛における効率的な胚生産技術として利用可能である。
  2. 本法による胚生産を紹介した「体内成熟卵子採取マニュアル」を作成している。
  3. 国内産の凍結牛性選別精子を商業利用として体外受精すること、胚や子牛生産することは知的財産権により制限されている。
図表1 236774-1.jpg
図表2 236774-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/nilgs13_s21.html
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