マダラの移動、摂餌生態と放射性セシウムの関係

タイトル マダラの移動、摂餌生態と放射性セシウムの関係
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 2012~2014
研究担当者 成松庸二
早乙女忠弘
山田 学
重信裕弥
栗田 豊
服部 努
伊藤正木
発行年度 2014
要約 マダラの放射性セシウム濃度(Cs)は2011年級では極めて低く、2010年以前の年級では高齢ほど高かった。主な分布域は陸棚斜面だったが、春季には一部の個体が接岸していた。食性解析の結果、高齢個体が沿岸域で食べる生物のみCsが高く、それが高齢魚=高Csに繋がっていることが示唆された。2011年級ではCsが低く、2010年以前年級も減少していることから、近年はCsの影響が沈静化していることが示された。
背景・ねらい 陸棚斜面上部における鍵種であるマダラからは、同所的に生息する魚類の中で唯一高い放射性セシウムが検出されている。また、一部の海域では体サイズによるCs濃度の違いが指摘され、Csによる漁獲規制解除時期が体サイズに依存して変化した経緯がある。様々な成長段階および季節におけるマダラの移動回遊特性や食性、Cs濃度を調べ、この要因を明らかにした。
成果の内容・特徴 生まれた年とCs濃度の関係を調べたところ、生まれた年が早いほどCs濃度が高い傾向にあり、2011年に生まれた個体からはほとんど検出されなかった(図1)。トロール調査の結果、マダラの1歳魚および2歳以上の個体は、いずれも周年水深200~400mの水深帯に多く分布していた一方で、2~5月には水深100m以浅の海域にも分布することが示された(図2)。また、食性を調べた結果、成長段階、時期および海域間で食性が異なっていた(図3)。大型個体が浅海域で食べていた餌生物のみから高いCsが検出されていた(図4)。これらのことから、震災直後に接岸していたマダラがCsを取り込み、その後陸棚斜面上部に移動してことでCsが拡散し、さらに大型個体がCsを含む餌生物を摂取することで体内のCs濃度の低下が鈍くなっていたと考えられた。
成果の活用面・留意点 本研究で明らかにしたマダラにおけるCsの取り込み、拡散のメカニズムは、今後のCs減少過程の予測に役立てることができる。また、2011年以降に生まれた個体からはごく微量のCsしか検出されず、2010年以前に生まれた個体でも順調に減少していることから、今後さらにCsの影響が低下することが示され、漁業再開に向けた科学的知見としての活用が期待できる。
図表1 236801-1.jpg
図表2 236801-2.jpg
図表3 236801-3.jpg
図表4 236801-4.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4851&YEAR=2014
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