タイトル | 高温耐性(低酸素耐性)形質を有する優良ヒラメの開発 |
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担当機関 | 神奈川県水産技術センター |
研究期間 | 2009~2013 |
研究担当者 |
長谷川理 坂本 崇 |
発行年度 | 2014 |
要約 | 温暖化への適応対策として、高水温下でも生残率の高い系統魚を開発することが、斃死を軽減させるための有効な対策の一つと考えられる。本県で飼育してきたヒラメ系統魚の中には、高水温期の低酸素状況下において、酸欠による斃死状況が系統間で異なっていることが知られていた。そこで、本課題において各系統の低酸素に対する耐性の強弱を明らかにし、低酸素に対して耐性を有する系統を作出した。 |
背景・ねらい | 近年、地球温暖化による海水温の上昇が問題となっている。特にヒラメなどの海産魚の増養殖においては、水温上昇により著しく斃死が増加するため、対応が求められている。そこで、高水温下でも生残率の高い系統魚を開発することが、温暖化による斃死被害を軽減するための有効な対策と考えられる。本県では、ヒラメの優良系統を開発しているが、この過程において、継代飼育してきた系統魚間において、高水温期の低酸素状態に対する、抵抗性が異なっていることが飼育を通じて経験的に知られている。そこで、これら系統魚の低酸素に対する生物特性を正確に把握し、系統魚の低酸素に対する抵抗性の相違を明らかにする。 また、これらの系統魚とヒラメDNAマーカーのゲノム情報を活用して低酸素耐性を有する優良系統を選抜するため、低酸素耐性形質と関連するDNAマーカーを検索し、高水温時の低酸素に対して抵抗性を有する優良系統を開発し、ヒラメの増養殖事業における、高水温による斃死被害を軽減するための方策を講じる。 |
成果の内容・特徴 | 1 系統間における低酸素に対する耐性の相違は、遺伝的な要因に基づいていることが明らかになった (図 1)。 2 低酸素に対して非耐性系統と耐性系統の系統間において交配し、F1魚(CB系統)を作出した。 次に、これらF1魚と非抵抗性(B系統)を交配してQTL解析家系(戻し交配魚)を作出した(図2)。 この戻し交配家系に酸欠試験を実施し、各個体の低酸素に対する耐性と遺伝子地図上のDNAマーカーと の対応関係について、量的形質解析法を用いて調査したところ、遺伝子地図の特定のリンケージ上にある DNAマーカーと低酸素耐性との間に対応関係を確認した。 |
成果の活用面・留意点 | 1 今後は検索されたマーカーを用いて、親魚の選抜を実施するとともに、これらから量産規模の種苗を生産し、マーカーの有効性について検証していく必要がある。 2 耐病性など他の優良形質についても、DNAマーカーを用いて選抜育種に成功しており、今後は、これらの形質と低酸素耐性形質を併せ持った新たな系統魚を開発していくことが必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4750&YEAR=2014 |
カテゴリ | 育種 高温耐性 DNAマーカー 抵抗性 |