| タイトル |
バイオエタノール発酵液の土壌還元消毒効果 |
| 担当機関 |
(独)農業環境技術研究所 |
| 研究期間 |
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| 研究担当者 |
堀田光生
北本宏子
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| 発行年度 |
2014 |
| 要約 |
非食用バイオマスを材料にして生産したバイオエタノール発酵液は、エタノールだけでなく、有機酸、糖などの有機成分を含み、これらの成分がエタノールと相乗的に作用して、農耕地土壌に還元消毒効果を示すことがわかりました。
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| 背景・ねらい |
人体や環境への負荷を減らすため、くん蒸剤などの化学農薬を代替する農耕地土壌の消毒技術が求められています。その代替技術として、農環研では、精製エタノール(原料アルコール)を用いた土壌還元消毒法を開発・報告しています。今回、非食用バイオマスを材料に用いた新規エタノール生産法(固体発酵法)を開発したため、得られたバイオエタノールを、土壌還元消毒用資材として利用することを検討しました。
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| 成果の内容・特徴 |
- 飼料用イネなどの非食用バイオマスを材料にして得られたエタノール発酵液および蒸留液について、そのエタノール濃度を調整して、土壌病原菌(フザリウム属菌)に対する還元消毒試験(ポット試験)を行ったところ、0.25%エタノール濃度で処理しても、精製エタノール以上に安定した消毒効果が得られました(表1)。
- エタノール発酵液には、エタノール以外の各種有機成分(L-乳酸、酢酸などの有機酸やキシロース、グルコースなどの糖)が含まれていました。その結果、飼料用イネ発酵液を精製エタノールと同じエタノール濃度に薄めて還元消毒に用いる場合、精製エタノールの倍以上の量の有機炭素が土壌に投入されることがわかりました(表2)。
- これら有機酸や糖をそれぞれ単独で加えて土壌還元消毒試験(ポット試験)を行ったところ、精製エタノールを処理した場合と同様に、消毒効果がみられました(表3)。消毒処理中の土壌について、還元消毒効果の指標となる酸化還元電位を調べたところ、いずれも0 mv以下に低下し、還元状態が保たれることが確認されました。
- 飼料用イネのエタノール発酵液(0.5または1.0%エタノール濃度)を用いて、春(5-6月)および秋(10-11月)に農環研圃場内で土壌還元消毒試験を計4回行った結果、いずれの場合も土壌病原菌に対し安定した消毒効果が得られました。
- 非食用バイオマスを生産する現地で調達可能なエタノール発酵液が、未精製のまま土壌還元消毒用資材として利用できることで、農村地域でのバイオマス資源の循環利用の拡大が期待されます。
本研究の一部は日本学術振興会科学研究費助成事業「科研費(課題番号23580466)」(2011-2013)による成果です。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 研究内容 |
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result31/result31_36.html
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| カテゴリ |
病害虫
飼料用作物
農薬
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